仕事とプライベートを両立するには?
協力してくれる人をつくるのが鉄則
女性が起業する場合、避けては通れないのが「プライベートとの両立」です。特に働き盛りの年齢なら、結婚したり、子どもを生み育てたり、あるいは親の入院や介護に時間をとられ、夫との関係が…と、実にさまざまなライフイベントに直面します。
ときどき、「自営業やフリーになったほうが会社勤めより両立がラクそう!」なんて思う人もいるようですが、とんでもありません。
たしかに、子どもの学校行事参加など、あらかじめわかっていて短時間で済むことなら、自営業のほうが対処しやすいのですが、突発的なことや継続することの場合、「自分の代わりは自分で探す」「協力してくれる人をつくる」のが鉄則です。
実は、「プライベートとの両立が可能かどうか」は、金融機関が女性の起業家へ融資する際にも重視するため成功するための大きなポイントの1つでもあります。
苦労しながらも上手に両立している先輩起業家たちの声を紹介
ケース1. 子育て支援サービスなどを上手に活用
事前にきちんと家族からの要望を聞いて情報を集めました。
起業~両立の経緯
30歳で、子どもが2歳の時に手作りコスメ教室を始めました。子どもが生まれる前は、インテリアコーディネーターなどをしていて、最初はあくまで「趣味」の範疇でしたが、起業アカデミーで自分の強みを書き出すと、「手作りコスメ」がキーワードとして浮かび上がり、「仕事になるかも」と自宅で教室を開くことをにしました。
両立できた理由(工夫していること)
家事は手抜きでもいいから、やってみたらと主人は協力的です。ただし、事業をはじめるにあたり、子どもにしわ寄せがいかないようにという約束をしたので、子どもと過ごす日はあらかじめ確保するようにしています。
また、子どもが熱を出すなど、突発的なことも対応できるよう少し余裕をもったスケジュールを組み、時間があまった時などは、事務作業に充てています。
自分ひとりですべてを抱え込まず、いろいろ情報を集めることも大切ですね。私の場合は役所の子育て支援課で情報をもらったり、同じワーキングマザーの先輩と情報を交換して、病児保育やママ同士の送迎・託児サービスなども活用しています。
ケース2. 家族やママ友を味方にし、複数事業を展開
真理さん
プライベートもあきらめたくなかったので、協力してくれる人をみつけました。
起業~両立の経緯
人材派遣会社を創業しましたが、その後すぐ結婚し早く子どもが欲しいと思うようになり開業から5年目に出産しました。当時の売上は3億円弱。せっかく事業がまわり始めていたので、育休はとらず産後1か月は自宅で仕事をしました。その後、外回りに出るようになり、今は子育てママのためなの社団法人も経営してます。
両立できた理由(工夫していること)
完璧を目指さないことですね。私の場合、産前産後に1か月ほど会社を休みましたが、それを機に社員が成長してくれましたし、産後2か月後からは託児所の力も借りました。夕方以降はできるだけ仕事を入れないように工夫したり、どうしてもやらなければならないときには、主人やママ友に協力してもらいました。
仕事もプライベートもあきらめたくなかったので、やりたいことを伝えて周りの人とのコミュニケーションを大切にしながら、つながりをつくることを心がけています。
ケース3. 1日の働く時間を決め、自分のペースを維持
ゆかりさん
心身の健康管理も仕事のうちと割り切って、働く時間を決めました!
起業~両立の経緯
地方の山間部で小さな手作りカフェを営んでいます。会社自体からお菓子や料理の修行を積み、経営についてある程度学んだところで、一軒家を賃貸しました。その後、菓子製造業許可を取得し、卸販売とイベント出店を開始。その後、念願のカフェをオープンしました。出産で半年ほど休業した時期もありますが、いまは営業日を減らしてその分、注文菓子や焼き菓子ギフトを増やすなど工夫しながら続けています。
両立できた理由(工夫していること)
カフェ経営は、たくさんの出会いが生まれるとても楽しい仕事です。ただ、自営業で時間の縛りがない分、ついつい働きすぎてしまいます。体調管理も仕事のうちと考え、営業は週末を中心に週に数日、1日数時間と決めて働くようにしています。
自分のペースを維持すると、時間だけでなく、気持ちにもゆとりがうまれ、子育てや家族と過ごし時間も大切に思えるようになりました。仕事以外の経験を増やすことで視野が広がり、経営にも活かせる気がします。
成功する人は、仕事のことだけではなくプライベートのこともどうありたいか考えてコツコツと準備をしている人が多いように思います。ご紹介した先輩起業家を参考に、あなたも理想とするワークライフバランスにするには何を準備したらよいか考えてみましょう。
事業はどこでしますか?
働き方を決めたら、次に働く環境を決めましょう。あなたはどこで事業をしますか?自宅にするのか、店舗を借りるのか、賃貸にするのか、最近はシェアオフィスやコアワーキングスペース、創業支援施設という選択肢もあります。事業をする場所に関しては、どんな選択をしても必ずメリットとデメリットがあります。
たとえば、自宅の一角を活用する場合「家賃が発生しない」というメリットはありますが、家族に気を遣ったり、車での来訪が増えれば近隣に迷惑をかけるといったことも考えられます。「どの選択が、自分と家族そしてお客様にとってメリットとなるか?」を考えて「事業をする場所」を決めましょう。
ここでは先輩起業家たちの声を紹介します。あくまで個人の受け止め方ですので、必ずしも同じ結果になるとは限りません。参考にされてみてください。
メリット・デメリットを比較してみよう
ケース1. 自宅で開業した場合
メリット
- 固定費がかからないので、起業のハードルが下がる
- 移動時間が必要ないので、時間の節約になる
- 空いた時間に家事や子供との時間に充てられる
- プライベート空間にお招きするので生徒さんと親密になれた
デメリット
- 住居スペースの一角で始めたため、子供や夫にストレスをかけてしまった
- プライベートと仕事を切り離しにくい
- 生徒さん方が停める駐車場を確保したり騒音対策をするのが大変だった
- 問い合わせメールが届くと対応したり、ダラダラ作業をしがちになる
ケース2. 賃貸物件で開業した場合
メリット
- 駅前や立地の良い場所など、好きな場所で開業できた
- 家族に気を遣わなくて済む
- オンとオフの切り替えができる
- 事業者として登記住所や問い合わせ住所として記載できる
デメリット
- 固定費がふえる
- 移動のための時間や交通費がかかる
- 赤字でもランニングコストがかかるのが意外と痛かった
- ひとり起業なので、お客様が来ない時など不安感があった
ケース3. シェアオフィスで開業した場合
メリット
- アクセスが良い場所を地域の相場より安い価格で借りられた
- 専門家による起業支援を受けられたので心強かった
- 設備が備わっていたので開業時の費用が抑えられた
- 会議スペースもあったので、顧客を招いての打ち合わせができた
デメリット
- 共有の無線LANだったので、セキュリティに不安があった
- 人の出入りがあるので、データや資料の管理にとても気を遣った
- 人の話し声や雑音が気になることがあり、個室でないと仕事に集中できなかった
- 会議室が予約制のため、週末など人気の日時には予約できない
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の事業をどこでどのように行うか書き出してみましょう。書き出せたらSTEP5の【コンセプト】へ進んでくださいね!
YUKI