開業までにあらためて確認しておきたいこと
経営に欠かせない「ヒト・モノ・カネ・情報」
思いつきで起業できても、事業として継続するには、自分自身のマインドや能力、資金、人脈、家族の理解など、いろいろなものが必要になってきます。起業する分野によっては事前に資格を取得したり、必要なスキルやノウハウ、知識を身につけておかなくてはならないこともあるでしょう。
そこで、経営に欠かせない資源といわれる「ヒト・モノ・カネ・情報」の観点から、開業前に最低限、確認しておきたいことをチェックリストにしました。もちろん、開業後でも改善したり、補完できることもありますが、「こんなはずじゃなかった…」「やっておけばよかった…」なんて後悔したくないですよね?
開業前のできるだけ早い段階で、あなた自身に問いかけてみてください。もし、自信がもてなかったり、不安に思うことがあれば、いったん立ち止まって、対策を考えてみることも大切です。
開業してから後悔しないためのワーク
ヒト・モノ・カネ・情報のチェックをしよう
①~④のそれぞれの項目の問いにチェックをしてください。チェックの合計がでたら診断結果を確認しましょう。
1 | 起業する目的は明確ですか? |
2 | 何かあった時の「責任は自分でとる」という覚悟がありますか?(★) |
3 | 起業した分野での就業経験はありますか? |
4 | うまくいかなくても、他人や自分を取り巻く環境のせいにしないと誓えますか? |
5 | うまくいかなくても、経験を学びと受け止めて、冷静に次の手を考えられますか? |
6 | 家族と十分に話し合い、起業することについて理解を得られていますか? |
7 | お客様からお金をいただくに値する商品・サービスになりそうですか?(★) |
8 | 「競争相手は必ずいる」という前提で、事業内容を差別化できていますか? |
9 | 流通ルーツ(仕入れ・販売先・販売方法等)のめどはたっていますか? |
10 | 家賃など、金額が大きいものは一社で即決せず、比較検討や価格交渉できますか? |
11 | 病気やプライベートで困ったとき、頼れる人や利用できるサービスはありますか? |
12 | 営業活動をいとわず、顧客を開拓する具体的な方法や気構えはありますか? |
13 | 起業に必要な資金のうち、3分の1以上を自分で用意できそうですか(★) |
14 | 必要に応じて、事業には金銭的な先行投資も必要だと決断できそうですか? |
15 | お客様が重要視するポイントにはお金をかけてもよいと考えられますか? |
16 | 自分の事業に対して、堂々とお金をもらう自信はありますか? |
17 | 自分にできないことは、お金を出して外部に依頼することはできますか? |
18 | 開業して、「すぐにお金は稼げない」という前提でも、生活はできますか? |
19 | 事業に関して、専門家や先輩起業家などに相談しましたか? |
20 | 起業する分野で、情報交換できる人や交流できる場を知っていますか? |
21 | 厳しい意見や批判にも耳を傾ける勇気はありますか? (★) |
22 | お客様になってほしい人が「どこで」「どんなツールで」情報収集しているかといったことを知っていますか? |
23 | 起業する分野の法規制や業界の慣習などについて調べてみましたか? |
24 | 開業してからも、学び続ける気持ちはありますか? |
【診断結果】24問中、いくつチェックできましたか?
起業に必要な心構えがあり、準備もほぼできているようです。事業内容をさらにブラッシュアップしながら、開業に向けて計画的に動いていきましょう!
起業に必要なスキルが備わっていても、不安な気持ちが大きすぎたり、自己資金が足りないうちは無理に起業しないほうがよいでしょう。とくに、「すごいと思われたい」「今の環境が嫌だから」「自営のほうがラクそう」といったあいまいな目的で起業すると、失敗することが多いようです。
今は、起業のタイミングではないかもしれません。自分に不足している要素(ヒト、モノ、カネ、情報)があるなら、それを補うことが先決です。今すべきことは何か、まず整理してみましょう。誰かに話すことで課題が見えてくることもあります。関連資格の取得や、起業セミナーなどに参加して、人脈や視野を広げてみるのもよいでしょう。場合によっては、事業プランを練り直すことも必要です。自己資金が足りなければ、お金を貯めるなどできることから始めてみましょう。
危機管理~女性だからこそ気を付けたいリスク対策~
いまの時点では、あなたにとって「起業すること」は夢かもしれませんが、「事業を行っていくこと」は現実です。うまくいくことばかりではなく、判断を誤ったり、ときに心が折れそうな出来事も起こります。どんなことがあり、そして先輩たちはそこから何を学んだのでしょうか。彼女たちがさまざまなトラブルから学んだことや対処法を紹介します。
私生活編
トラブル内容 | 学んだこと | |
---|---|---|
健康 問題 | 突然の病で緊急入院して、予約のお客様にご迷惑をかけしてしまいました…。 | 定期的な健康診断はもちろん、食事や運動など体調管理に気を配る用意なりました。 |
友人 関係 | 自宅教室にしたら家族にストレスが…! | 子どもに落ち着きがなくなってしまい、自宅は自分だけでなく家族の空間であることを思い知らされました。 |
家族 関係 | 友人がお客様になってくれましたが、トラブルになり絶縁しました。 | 友達として接したため、お互いなぁなぁになりました。仕事では友人でもお客様として接することや時に毅然と対応することを学びました。 |
事業編
トラブル内容 | 学んだこと | |
---|---|---|
借入 | 女だからと甘く見られたのか高い金利を提示されました。 | ひとつの機関にすぐ決めるのではなく、複数の金融機関を比較したり、商工会議所に相談するべきでした。 |
セクハラ | いかがわしい目的で来る男性客がいました。 | 性別を問わないほうが予約が増えると思い男性も受け付けていましたが、女性専門のサロンにした結果、トラブルがなくなり仕事に専念できるようになりました。 |
防犯 | 自宅で開業するため、ホームページに住所を記載することに不安があります。 | ホームページに記載する住所は町名までにし、番地や号数は予約者のみに伝える方法に落ち着きました。 |
リスクに備える
プライベートでも事業でもさまざまなリスクが潜んでいることがわかりましたね。起業するのが怖くなってきた方もいらっしゃるでしょうか。残念ながら、起業後のトラブルは必ずあります「必ず」です。
これまで多くの起業相談にのってきましたが、一度もトラブルがないという人に会ったことがありません。でも、だからといって事業そのものをあきらめたりしないでくださいね。みなさんいろいろな壁を乗り越えて成長しているのです。
「想定されるリスク」は無限にあります。考え始めればキリがないのですが、ある程度のリスク対策は必要です。
では、起業する段階において、どこまでリスクに備えておいたらいいのでしょうか。たとえば、想定されるリスクを「起こる確率」と、「起こってしまった場合の迷惑度」で分類してみましょう。「起こる確率が高く、かつ起こると大きな迷惑をかけてしまう」という場合は、保険をかけたり、クレーム対応マニュアルを作成するなど、何らかの対策をすることが大切です。
たとえば、飲食店のための食中毒対応保険や、制作した商品がもとで起こった損失に対応するための損害保険など、さまざまな保険・共済があります。また、自分自身が病気になったとき、スタッフの人件費や家賃を賄えるよう、一時金が受け取れる保険に入る経営者もいます。
開業前のリスク想定や対策ができたら、開業前の最終チェックは終わりです。
開業前のリスク想定や対策ができたら、開業前の最終チェックは終わりです。ワークが完了したら、STEP15の【売上の法則】へ進んでくださいね!
YUKI