青色申告と白色申告の違いを知っておきましょう。
合計所得が38万円を超えると確定申告が必要
お金の出し入れを帳簿で管理したら、1年に一度「確定申告」を行います。確定申告とは、1年間に得た売上などから必要経費などを差し引いて、納めるべき税金の額を計算して、所轄の税務署へ書面で申告する作業のことです。ちなみに、確定申告が必要なのは合計所得が48万円を超える場合※です。開業届を出していても、38万円以下の場合は申告不要です。
確定申告の作成にあたっては、次のような流れで準備しておきましょう。
- 経費になるもの・ならないものを把握する
- 帳簿整理(仕訳)の仕方を覚える
- 確定申告書の構造を把握する
ここでは知識として、確定申告には「青色申告」と「白色申告」があることをまず理解してください。違いを知っているかどうかで税金の額も変わってきます。
確定申告には2種類ある
個人事業主の場合 | 白色申告 | 青色申告 |
---|---|---|
届け出(承認) | 不要 | 必要 |
決算書の種類 | 収支内訳書 | 青色申告決算書 |
税制上の優遇措置 | 少ない・控除無し | あり※1 |
家族に払う給料 | 制限あり 給料が経費にならない代わりに一定の専従者控除がある | 制限なし 事前に税務署に届け出た範囲内で妥当な額であれば払った分だけ経費になる |
帳簿づけ | 必要※2 | 必要 |
※1: 青色申告の税制上の優遇措置 は色々ありますが、「青色申告特別控除」 がのように売上から必要経費を引き、さらに「青色申告特別控除」として(基本的に)65万円が差し引ける制度の「青色申告特別控除」があります。2020年からは青色申告特別控除額は55万円です。ただし、確定申告書をe-Taxで提出すれば、65万円の控除が可能です。
※2:2014年の法改正により白色申告であっても、簡単な「帳簿の保存(期間5年~7年)」が義務付けられました。経理用ソフトなどを利用すると、より簡単に「複式簿記」ができるので活用してみてください。
確定申告書の作成のしかた
開業届を提出した人には、確定申告期間の前(例年1月ごろ)に、確定申告書類の一式が郵送されてきます。送られてこなかったり、書類をなくした場合は、国税庁のホームページからダウンロードするか、直接税務署でもらうこともできます。
- 所得税の確定申告期間:例年2月16日~3月15日
- 税務署の開庁時間:月~金までの8時30分~17時。確定申告期間内に限り左記以外の日時に相談や受付を行う税務署もあります。
確定申告書は細かい知識がなくても、国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用すれば、自宅のパソコンで簡単に作成できます。画面の案内に従って必要な金額等を入力すれば、納税額を自動的に計算してくれますので心配する必要はありません。
ただし、自動計算のためには、きちんと売上金額や必要経費を入力する必要がありますので、帳簿整理は時間のあるときにコツコツやっておきましょう。
また、 e-Taxに対応している経理用ソフトを使っていれば、自動作成した確定申告のためのデータをそのまま流用できます。作成した申告書は e-Taxで提出するか、印刷して所得の税務署へ郵送または持参します。
自宅からe-tax | 書面提出(郵送、持参) | |
送料・交通費 | 不要 | 送料(郵送の場合)・交通費等が必要 |
添付資料 | 原則 提出省略 | 原則必要 |
還付金受け取り期間 | 提出から3週間程度 | 1ヶ月〜1ヶ月半程度 |
青色申告控除額 | 最大65万円 | 最大55万円※電子帳簿の保存を除く |
申告書控 | すぐに入手・何度でもダウンロード可 ※ダウンロードにはマイナンバーカードが必要 | 原則1つ 郵送の場合、返信用封筒が必要 |
「確定申告」に関する質問に税理士が答えます
開業届を出して確定申告しないと怒られますか?
所得金額によります。個人事業主が専業の場合、所得が38万円以下の場合は確定申告の必要がありません。
所得が38万円以下で確定申告を行わない場合は、届け出が必要ですか?
必要な届け出はありません。
確定申告は必ず税理士にお願いしないといけませんか?
自分で申告しても大丈夫です。ただし、税理士の資格をもっていない人に報酬を払って確定申告をしてもらうのは法律違反です。無資格で報酬を受け取った人は罰せられます。
確定申告のときに帳簿やレシートも提出するのでしょうか?
不要です。ただし、税務調査が入った時などに備えて保管をしておきましょう。
確定申告と白色申告って一度選択したら変えられないの?
変えられます。ただし、青色申告はその年の3月15日までの届けが必要です。
もし、確定申告で間違いをしてしまったら?
税務署が気づいた場合は連絡がありますので、指導にのっとり修正をしましょう。自分で後から気づいた場合も、所定の手続きで修正が可能です。
「税務調査は必ずあるのでしょうか?」
ごく一部の会社が対象で、個人事業主は少ないようです。ただし、飲食店など現金収入商売の事業主へは、税務署は予告なして調査に入ることもあります。
確定申告の内容を確認したら、いよいよ最後の講座STEP18の【PCDAサイクル】へ進んでくださいね!
YUKI