扶養範囲内で起業したい場合

扶養家族になっている人は確認しておこう!

「扶養の範囲内で起業したいのですが、いくらまで稼いでいいですか?」女性の起業希望者から相談を受けるときによく聞かれる質問です。

こんな相談をするなんて「起業を甘くみるな!」という考えもあるでしょうが、まずは扶養範囲内での起業が目標という人の気持ちもわかります。うっかり扶養範囲を超えてしまって、あとから「家族手当を返してください!」ということになっても大変ですしね。

けれど、この「扶養範囲」実はちょっとややこしいんです。

  1. 税制上の扶養範囲(国税庁の基準)
  2. 社会保険上の扶養範囲(厚生労働省の基準)
  3. 会社の規程上の扶養範囲(各会社の基準)

このように、同じ扶養範囲という言葉でも異なる3つの基準が混在しているのです。

「扶養範囲」 には3つの基準がある

この3つの基準をそれぞれみていきましょう。

税制上の扶養範囲(国税庁の基準)

一定の金額内の収入(所得)の場合、所得税や住民税など税金を納める義務が免除されたり、配偶者が収入から一定金額を差し引かれたり(控除を受けられたり)します。

配偶者控除合計所得が48万円以下が対象。夫の所得が900万円を超えると、夫が受けている配偶者控除が段階的に減っていく。
配偶者特別控除合計所得48万円を超えると、配偶者特別控除に切り替わり、所得が増えると控除額は徐々に減っていく。
所得税合計所得48万円を超えると所得税がかかる
住民税各市区町村によって異なるが、合計所得30万円前後で住民税がかかる
社会保険上の扶養範囲(厚生労働省の基準)

一定の金額内の収入(所得)の場合、健康保険料や年金保険料の支払いが免除されます。

健康保険夫社保の場合
→年収130万円までOK・所得130万円までOK・個人事業主というだけでNG
夫国保の場合
→そもそも扶養範囲がない
国民年金年収130万円を超えると、第3号被保険者ではなくなる
会社の規定上の扶養範囲(各会社の基準)

会社ごとに設けられた基準で「家族手当」などが支給されます。

家族手当など夫の会社の規程を確認する

確認するポイント

【1】配偶者が会社員の場合

配偶者が会社員の場合は、「配偶者の会社が加入する健康保険組合などの規定」と「会社の規定」を確認してください。「配偶者の会社が加入する健康保険組合などの規定」からは、社会保険上、扶養の範囲でいるための「年収」や「所得」の決まりがわかります。また、「会社の規程」からは、家族手当などの支給のための「年収」の決まりがわかります。

家族手当等については、会社によって「(配偶者が)自営業というだけでNG」という場合もあるようなので、配偶者の会社の規程を必ず確認しておきましょう。

【2】配偶者が自営業の場合

配偶者が自営業の場合は、次に2つのパターンがあります。

パターン1:配偶者が(個人事業主などで)国民年金保険に加入している場合

配偶者が国民健康保険に加入している場合、そもそも扶養範囲という枠組みはありません。すでにあなた(もしくは配偶者)が社会保険料を支払っています。

パターン2:配偶者が(法人化している場合などで)社会保険に加入している場合

配偶者が会社員の場合と同様に、「配偶者の会社が加入する健康保険組合などの規程」「会社の規程 」を確認していください。

扶養範囲内で起業するとは?

配偶者の働き方国民年金健康保険会社の規程
A 会社員(会社に雇われている)年収130万円まで配偶者の会社が加入する健康保険組合などの規程を調べる家族手当などの支給基準を調べる
B 自営業で国民健康保険に加入している(社会保険の場合はAと同じ)※扶養範囲は存在しない※ 扶養範囲は存在しない ※扶養範囲は存在しない
※国民健康保険に加入の場合は扶養範囲が存在しないので調べなくてよい
まゆみさんの場合

会社員の夫で健康保険組合に加入、家族手当は妻の収入に関係なく支給

ご主人の働き方を確認したところ、まゆみさんの場合は、まず起業1年目で年収130万円までを目指すという目標が立てられる。

控除の対処となる配偶者
  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • 控除を受ける納税者と生計を一にしていること
  • 青色申告の事業専従者として給与の支払いを受けていないとこ、または白色申告の専業従事者でないこと

※配偶者控除と配偶者特別控除は、夫婦の間で互いに受けるなど、重複して受けることはできないので、注意が必要です。

このように、扶養内の起業はご主人の会社の規程の確認が必要不可欠です。女性が起業することはご主人の理解も必要ですし、一度ゆっくり時間をつくってあなたの夢や思いとともに話されてみてくださいね。

私の経験でいえることは、これまで起業をサポートしてきた女性はみな、ご主人の理解を得るための話し合いや協力を経て、ビジネスの成果を出されています。

話し合いは今すぐでなくても、この講座を終えてからでも大丈夫です。次はSTEP8の【お金の管理】へ進んでくださいね!

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