Lecture 1Excelの画面構成と基本操作 — 最初の一歩

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Excelの画面構成と基本操作 — 最初の一歩

Excelが「最強のビジネスツール」である理由

Microsoft Excelは、世界で約7.5億人が使用する表計算ソフトです(Microsoft公式発表、2023年)。会計、営業、マーケティング、人事、経営企画 — ほぼすべてのビジネス部門で日常的に使われています。

Excelは1985年にMacintosh向けに初リリースされ、1987年にWindows版が登場しました。以来40年近くにわたってビジネスの現場で使われ続けているのは、「表形式のデータを直感的に扱える」という本質的な強みがあるからです。

求人サイトIndeedの調査(2024年)では、事務職の求人の約85%が「Excelスキル必須」または「Excel使用あり」と記載しています。Excelは単なるソフトウェアではなく、ビジネスパーソンの基本リテラシーです。

画面構成 — 各部の名前と役割

Excelを起動すると「ブック」が開きます。Excelの画面は以下の要素で構成されています:

要素 場所 役割
リボン 画面上部 ホーム、挿入、数式等のタブにコマンドが整理されている
名前ボックス リボンの左下 選択中のセルの位置(例: A1)を表示
数式バー 名前ボックスの右 セルに入力された内容(数式含む)を表示・編集
ワークシート 画面中央 実際のデータ入力エリア。行(横)×列(縦)のグリッド
シートタブ 画面下部 複数のシートを切り替える。右クリックで追加・名前変更
ステータスバー 最下部 選択範囲の合計・平均・件数を瞬時表示

ステータスバーの活用ポイント: 数値セルを複数選択するだけで、画面右下に合計・平均・データの個数が表示されます。関数を書くまでもなく、ざっくりした集計値をすぐ確認できる便利な機能です。

セル — Excelの最小単位

ワークシートは「セル」の集まりです。列はA, B, C...(最大XFD = 16,384列)、行は1, 2, 3...(最大1,048,576行)で構成され、「A1」「B3」「C10」のように列文字+行番号で位置を表します。これをセル参照(セルアドレス)と呼びます。

1枚のシートに約10億セルが存在する計算ですが、実際に使うのはその極一部です。新規ファイルのサイズが数KBなのは、データが入ったセルだけがメモリに保持されるためです。

データ入力の基本

セルに入力できるデータは大きく3種類です:

種類 配置 用途
数値 1000, 3.14 右寄せ 計算対象。売上、数量、金額等
文字列 東京支店, 田中 左寄せ ラベル、名前、項目名等
数式 =A1+B1 計算結果を表示 セル間の計算、関数の適用

Excelは入力内容を自動判定します。数字だけ入力すると数値型、先頭が=なら数式、それ以外は文字列として扱います。

よくあるトラブル: 電話番号「090-1234-5678」を入力すると、Excelが日付や数値として解釈することがあります。これを防ぐには、先頭にアポストロフィ '090-1234-5678 を付けるか、事前にセルの書式を「文字列」に設定します。

基本操作 — 知っておくべきショートカット

マウス操作だけでもExcelは使えますが、ショートカットキーを覚えると作業速度が劇的に向上します。Excel MVPの著書や企業研修でも「まずショートカットを覚える」ことが推奨されています。

移動・選択のショートカット

ショートカット 動作
Ctrl + → データがある方向の端まで移動
Ctrl + Home A1セルに戻る
Ctrl + End データがある最後のセルに移動
Ctrl + Shift + → 端まで選択
Ctrl + A 全セル選択(データ範囲内なら範囲選択)
Shift + Space 行全体を選択
Ctrl + Space 列全体を選択

編集のショートカット

ショートカット 動作
Ctrl + C / V / X コピー / 貼り付け / 切り取り
Ctrl + Z / Y 元に戻す / やり直す
Ctrl + D 上のセルをコピー(Fill Down)
Ctrl + R 左のセルをコピー(Fill Right)
F2 セルを編集モードにする
Ctrl + ; 今日の日付を入力
Ctrl + : 現在時刻を入力

特に重要なショートカット3つ

  1. Ctrl + S(保存) — 5分に1回は押す習慣をつけましょう。Excel のクラッシュでデータを失う事故は今でも日常的に起きています
  2. Ctrl + Z(元に戻す) — 最大100回まで戻れます。失敗を恐れずに操作できる安全網
  3. Ctrl + Shift + L(フィルター切り替え) — 大量データの絞り込みに必須。第6回で詳しく学びます

実践ワーク: 簡単な売上表を作る

以下の手順で、最初の売上表を作成してみましょう:

  1. 新しいブックを開く(Ctrl + N
  2. A1に「商品名」、B1に「単価」、C1に「数量」、D1に「売上」と入力
  3. A2〜A5に商品名を入力(例: コーヒー、紅茶、ジュース、水)
  4. B2〜B5に単価を入力(例: 350, 300, 200, 150)
  5. C2〜C5に数量を入力(例: 120, 80, 200, 300)
  6. D2に =B2*C2 と入力してEnter
  7. D2セルの右下にある小さな■(フィルハンドル)をD5までドラッグ

D2〜D5に売上金額が自動計算されるはずです。D6に =SUM(D2:D5) と入力すれば合計が出ます。

フィルハンドルは、数式を下方向(または右方向)にコピーする最も基本的な操作です。D2の =B2*C2 がD3にコピーされると、Excelが自動的に =B3*C3 に調整してくれます。この仕組みを「相対参照」と言い、次回詳しく解説します。

Excelの代替ツールとの比較

特徴 Excel Google Sheets LibreOffice Calc
費用 Microsoft 365(月額/年額) 無料 無料
共同編集 OneDrive経由で可能 ネイティブ対応 限定的
関数の充実度 最も豊富(500+関数) 多い 多い
マクロ/VBA 対応 GAS(別言語) Basic
大量データ 100万行対応 約1000万セル制限 100万行対応
業界標準 ほぼ全業界 IT/スタートアップ 個人・学術

Google Sheetsは無料で共同編集が便利ですが、大量データの処理速度やVBAマクロの互換性ではExcelが優位です。この講座ではExcelを前提に解説しますが、基本操作の多くはGoogle Sheetsでも共通です。

まとめと次回の準備

今回のポイント: - Excelの画面構成: リボン、数式バー、ワークシート、ステータスバー - セルのアドレスは列文字+行番号(例: A1, B3) - データ型は数値・文字列・数式の3種類 - Ctrl+S(保存)、Ctrl+Z(元に戻す)は最優先ショートカット - フィルハンドルで数式を連続コピー

次回: セル参照と数式の基本を学びます。相対参照・絶対参照の違い、数式のエラー対処法など、Excel計算の核心に踏み込みます。

参考文献: - Microsoft公式サポート「Excelの基本的な作業」(https://support.microsoft.com/ja-jp/excel) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年) - 藤井直弥・大山啓介『できるExcel 2021』(インプレス、2022年)

Lecture 2セル参照と数式の基本 — 計算の仕組みを理解する

12:00

セル参照と数式の基本 — 計算の仕組みを理解する

Excelの真の力 — 「参照」という概念

前回、=B2*C2 と入力して売上を計算しました。この数式の本質は「B2とC2の値を掛ける」ではなく、「B2が指すセルの値とC2が指すセルの値を掛ける」です。B2の値が変われば、数式の結果も自動的に再計算されます。

この「セルを参照する」仕組みこそが、Excelが電卓と決定的に異なる点です。一度数式を組めば、元データを変更するだけで関連するすべての計算結果が連動して更新されます。会計士のDan Bricklin氏が1979年に世界初の表計算ソフト「VisiCalc」を開発した際、この「自動再計算」の概念が経理業務を根本から変えました。

相対参照 — Excelの標準動作

数式をコピーすると、セル参照が自動的にずれます。これが相対参照です。

D2 = B2 * C2    ← 元の数式
D3 = B3 * C3    ← 1行下にコピーすると、参照も1行ずれる
D4 = B4 * C4    ← さらに1行下

このおかげで、D2に1つ数式を書いてフィルハンドルで下にドラッグするだけで、全行の計算が完成します。100行あっても1000行あっても、数式を書くのは1回だけです。

絶対参照($記号)— 参照を固定する

相対参照は便利ですが、「コピーしても動かしたくないセル」がある場面もあります。

例: 消費税率を1つのセルに入れて、全商品の税込価格を計算する場合

A1: 税率    B1: 10%
A3: 商品    B3: 税抜価格    C3: 税込価格
A4: コーヒー  B4: 350     C4: =B4*(1+B1)     これだとコピー時にB1がB2にずれる

C4を下にコピーすると =B5*(1+B2) になり、B2は空なので正しく計算できません。税率セルB1を固定するには $ を使います:

C4: =B4*(1+$B$1)

$B$1 と書くことで、コピーしてもB1への参照が変化しなくなります。

$記号の位置と意味

記法 用途
B1 相対 相対 通常のセル参照
$B$1 固定 固定 税率、為替レートなど定数セル
$B1 固定 相対 列を固定して下にコピーする場合
B$1 相対 固定 行を固定して右にコピーする場合

F4キーの活用: セル参照を入力した直後にF4キーを押すと、B1$B$1B$1$B1B1 と順に切り替わります。$を手打ちするより遥かに速いので、必ず覚えてください。

数式の演算子

Excelで使える演算子をまとめます:

算術演算子

演算子 意味 結果
+ 加算 =10+3 13
- 減算 =10-3 7
* 乗算 =10*3 30
/ 除算 =10/3 3.333...
^ べき乗 =10^2 100
% パーセント =10% 0.1

比較演算子(結果はTRUE/FALSE)

演算子 意味 結果
= 等しい =A1=100 TRUE/FALSE
<> 等しくない =A1<>0 TRUE/FALSE
>, < より大きい/小さい =A1>50 TRUE/FALSE
>=, <= 以上/以下 =A1>=100 TRUE/FALSE

比較演算子はIF関数(次回学習)の条件に使う場面が多いです。

演算の優先順位

数学と同じく、乗算・除算が加算・減算より先に計算されます。

=10+3*2   → 16(3*2が先に計算される)
=(10+3)*2 → 26(括弧内が先)

複雑な数式では括弧を積極的に使い、意図を明確にしましょう。自分が3ヶ月後に見て理解できる数式を書くことが重要です。

エラー値の種類と対処法

数式を書いていると、計算結果の代わりにエラーが表示されることがあります。主要なエラーとその対処法を整理します:

エラー 意味 よくある原因 対処法
#DIV/0! ゼロ除算 割る数が0または空 IF関数で0チェックを追加
#VALUE! 値の種類が不正 数値セルに文字が混入 セルの中身を確認、文字列を除去
#REF! 参照先が無効 参照先の行/列を削除した Ctrl+Zで戻すか、参照を修正
#NAME? 名前が不正 関数名のスペルミス 関数名を確認。VLOOKUPVLOKUP
#N/A 値が見つからない VLOOKUPで一致なし IFERROR関数で代替値を設定
#NUM! 数値が不正 計算結果が大きすぎる/負の平方根 入力値を確認
###### 列幅不足 数値が列幅に収まらない 列幅を広げる(列の境目をダブルクリック)

######はエラーではなく「表示しきれない」サインです。列の境界線をダブルクリックすると自動調整されます。

IFERROR関数の活用: エラーが表示される可能性がある数式は、IFERRORで囲むと安全です。

=IFERROR(B2/C2, 0)

B2/C2でエラーが出たら0を表示する、という意味です。「エラーが出たらどうするか」を事前に設計しておくのが、堅牢なExcelシートの基本です。

セル範囲の指定方法

複数のセルをまとめて指定する方法です。関数の引数で頻繁に使います:

表記 意味
A1:A10 連続範囲(コロン) A1からA10の10セル
A1:C3 矩形範囲 A1〜C3の9セル(3×3)
A1,C1,E1 離れたセル(カンマ) A1とC1とE1の3セル
A:A 列全体 A列のすべて
1:1 行全体 1行目のすべて

SUM関数との組み合わせ:

=SUM(A1:A10)       → A1〜A10の合計
=SUM(A1:A10,C1:C10) → A1〜A10とC1〜C10の合計

実践ワーク: 見積書を作る

以下の見積書をExcelで作成してください:

構成: - A列: 項目名 - B列: 単価 - C列: 数量 - D列: 小計(=単価×数量) - 最下行: 小計の合計、消費税(合計×税率)、税込合計

手順: 1. E1に税率 10% と入力 2. 3〜4商品を入力 3. D列に =B3*C3 の数式を入力し、フィルハンドルで下にコピー 4. 合計行に =SUM(D3:D6) で小計合計 5. 消費税行に =D7*$E$1(税率セルは絶対参照) 6. 税込合計行に =D7+D8

E1の税率を8%に変えてみてください。消費税と税込合計が自動的に再計算されるはずです。これが「参照による自動再計算」の威力です。

まとめと次回の準備

今回のポイント: - 相対参照: コピーすると参照がずれる(標準動作) - 絶対参照 $B$1: コピーしても参照が固定される - F4キーで$を切り替え - エラー値は種類を覚えておけば原因特定が速い - IFERRORでエラー時の代替値を設定

次回: Excel必須関数15選を学びます。SUM、AVERAGE、IF、VLOOKUP、COUNTIF、INDEX/MATCH — 業務で「この関数を知っているかどうか」で生産性が10倍変わります。

参考文献: - Microsoft公式「数式と関数の概要」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/excel-の数式の概要-ecfdc708-9162-49e8-b993-c311f47ca173) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年) - 羽毛田睦土『できるYouTuber式 Excel現場の教科書』(インプレス、2019年)

Lecture 3必須関数15選 — SUM, IF, VLOOKUPからCOUNTIFまで

15:00

必須関数15選 — SUM, IF, VLOOKUPからCOUNTIFまで

Excelの関数は「道具箱」

Excelには500以上の関数が用意されていますが、日常業務で使う関数は驚くほど限られています。米国の会計ソフト企業Intuit社が2023年に公開した調査では、ビジネスユーザーが日常的に使う関数の上位15個で業務利用の約90%をカバーしていると報告されています。

この講義では、その「必須15関数」を体系的に学びます。すべて覚える必要はありません。「こういうことができる関数がある」と知っておくだけで、必要なときに調べて使えます。

集計関数(5つ)

1. SUM — 合計

最も基本的な関数です。

=SUM(B2:B10)         → B2〜B10の合計
=SUM(B2:B10,D2:D10)  → 2つの範囲を合算
=SUM(B2,C2,D2)       → 個別セルの合計

ポイント: =B2+B3+B4+... と手で足すより、SUMを使う方がミスが少なく、行の追加にも対応しやすくなります。

2. AVERAGE — 平均

=AVERAGE(B2:B10)     → B2〜B10の平均値

空白セルは無視されますが、0が入ったセルは計算に含まれます。テスト未受験(空白)と0点は異なる扱いになるため、教育現場では注意が必要です。

3. COUNT / COUNTA — 数を数える

=COUNT(B2:B10)       → 数値が入ったセルの個数
=COUNTA(B2:B10)      → 空白でないセルの個数(文字列も含む)
=COUNTBLANK(B2:B10)  → 空白セルの個数

COUNTは数値のみ、COUNTAは文字列も含むすべてのデータをカウントします。アンケートの回答数を数えるならCOUNTA、数値データの件数ならCOUNTを使い分けます。

4. MAX / MIN — 最大値・最小値

=MAX(B2:B100)        → 最大値
=MIN(B2:B100)        → 最小値

売上の最高額、最低気温、試験の最高点など、範囲の中から極値を取り出します。

5. SUMIF / COUNTIF — 条件付き集計

これがExcelの真骨頂です。「条件に合うデータだけ」を集計できます。

=SUMIF(A2:A100, "東京", B2:B100)
→ A列が「東京」の行だけ、B列を合計

=COUNTIF(A2:A100, "東京")
→ A列が「東京」の行数を数える

=COUNTIF(B2:B100, ">=100")
→ B列が100以上のセル数
関数 意味 構文
SUMIF 条件を満たす行の合計 =SUMIF(条件範囲, 条件, 合計範囲)
COUNTIF 条件を満たすセル数 =COUNTIF(範囲, 条件)
AVERAGEIF 条件を満たす行の平均 =AVERAGEIF(条件範囲, 条件, 平均範囲)

複数条件の場合: SUMIFS(末尾にS)を使います。

=SUMIFS(C2:C100, A2:A100, "東京", B2:B100, ">=2024/1/1")
→ A列が「東京」かつ B列が2024年以降の行だけ、C列を合計

SUMIFは条件1つ、SUMIFSは条件2つ以上。引数の順序が異なる点に注意してください(SUMIFSは合計範囲が先頭に来ます)。

論理関数(2つ)

6. IF — 条件分岐

「もし〜なら A、そうでなければ B」を実現します。

=IF(B2>=80, "合格", "不合格")
→ B2が80以上なら「合格」、そうでなければ「不合格」

=IF(B2>=100, B2*0.1, 0)
→ B2が100以上なら10%割引額、そうでなければ0

IF関数のネスト(入れ子):

=IF(B2>=90, "A", IF(B2>=70, "B", IF(B2>=50, "C", "D"))) 90以上A70以上B50以上C、それ以外D

ネストが3段階を超えると読みにくくなります。Excel 2019以降ではIFS関数が使えます:

=IFS(B2>=90, "A", B2>=70, "B", B2>=50, "C", TRUE, "D")

IFSは条件を左から順に評価し、最初にTRUEになった値を返します。最後のTRUEは「それ以外すべて」の意味です。

7. AND / OR — 複合条件

IF関数の条件部分で複数の条件を組み合わせます。

=IF(AND(B2>=70, C2>=70), "合格", "不合格") B2C2がどちらも70以上なら合格

=IF(OR(B2="東京", B2="大阪"), "主要都市", "その他") B2が東京または大阪なら「主要都市」

検索関数(3つ)

8. VLOOKUP — 縦方向の検索

Excelで最も「知っているかどうかで差がつく」関数です。別の表からデータを引っ張ってきます。

=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, FALSE)

=VLOOKUP(A2, 商品マスタ!A:C, 3, FALSE)
→ A2の商品コードを商品マスタシートのA列から探し、3列目(価格)を返す
引数 意味
検索値 探したい値 A2(商品コード)
範囲 検索する表 商品マスタ!A:C
列番号 返す列(左から数えて) 3(3列目)
検索方法 FALSE=完全一致, TRUE=近似一致 FALSE(通常はこれ)

VLOOKUPの制約: 検索列は範囲の一番左の列でなければなりません。右から左への検索はできません。

9. INDEX + MATCH — VLOOKUPの上位互換

VLOOKUPの制約を解消する組み合わせです。Excel上級者が好んで使います。

=INDEX(返す範囲, MATCH(検索値, 検索範囲, 0))

=INDEX(B:B, MATCH(D2, C:C, 0))
→ C列からD2を探し、同じ行のB列の値を返す

MATCHが「何行目にあるか」を返し、INDEXがその行の値を取り出します。

INDEX+MATCHの利点: - 左方向の検索が可能 - 列の挿入・削除に強い(列番号をハードコードしない) - VLOOKUPより計算が高速(大量データ時)

10. XLOOKUP(Excel 365 / 2021以降)

Microsoft が2020年に導入した、VLOOKUP の後継関数です。

=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 返す範囲, 見つからない場合の値)

=XLOOKUP(A2, 商品マスタ!B:B, 商品マスタ!D:D, "該当なし")

VLOOKUPとINDEX+MATCHの両方の利点を兼ね備え、構文もシンプルです。ただし、Excel 2019以前では使えないため、共有ファイルでは互換性に注意が必要です。

文字列関数(3つ)

11. LEFT / RIGHT / MID — 文字列の切り出し

=LEFT(A2, 3)         → A2の左から3文字
=RIGHT(A2, 4)        → A2の右から4文字
=MID(A2, 3, 5)       → A2の3文字目から5文字

商品コード ABC-12345 から部門コード ABC を取り出す、郵便番号の上3桁を抽出するなど、データ整理に必須です。

12. CONCATENATE / TEXTJOIN — 文字列の結合

=A2 & " " & B2                    → 姓と名をスペースで結合
=CONCATENATE(A2, " ", B2)         → 同上
=TEXTJOIN("-", TRUE, A2:C2)       → A2〜C2を「-」で結合(空白スキップ)

&演算子が最もシンプルです。Excel 2019以降ならTEXTJOINが複数セルの結合に便利です。

13. TEXT — 数値の書式変換

=TEXT(A2, "yyyy/mm/dd")           → 日付を「2024/01/15」形式に
=TEXT(A2, "#,##0")                → 数値を「1,234,567」形式に
=TEXT(A2, "0000")                 → 数値を4桁ゼロ埋め(0001, 0023等)

数値を特定の書式の文字列に変換します。レポートや帳票で表示形式を統一するときに使います。

日付関数(2つ)

14. TODAY / NOW — 現在の日付・時刻

=TODAY()              → 今日の日付(例: 2024/1/15)
=NOW()                → 現在の日時(例: 2024/1/15 14:30)
=DATEDIF(A2, TODAY(), "Y")  → A2の日付から今日までの年数

TODAY()はファイルを開くたびに更新されます。固定の日付が必要な場合はCtrl+;で入力してください。

15. YEAR / MONTH / DAY — 日付の分解

=YEAR(A2)             → 年(例: 2024)
=MONTH(A2)            → 月(例: 1)
=DAY(A2)              → 日(例: 15)
=WEEKDAY(A2)          → 曜日(1=日, 2=月, ..., 7=土)

「月別集計をしたいが、日付データしかない」場合に、MONTHで月を抽出してからSUMIFで集計する手法が定番です。

関数の組み合わせ — 実務での威力

実務では関数を単体で使うことより、組み合わせて使うことの方が多いです。

例: 売上一覧から「東京支店の今月の売上合計」を求める

=SUMIFS(D:D, B:B, "東京", C:C, ">="&DATE(YEAR(TODAY()),MONTH(TODAY()),1), C:C, "<="&TODAY())

この1行で「D列の売上を、B列が東京、C列が今月1日〜今日の範囲で合計」しています。

実践ワーク: 成績管理表を作る

以下の成績表を作成してください:

A列 B列 C列 D列 E列 F列
1 氏名 国語 数学 英語 合計 判定
2 田中 85 72 90 ? ?
3 鈴木 60 95 78 ? ?
4 佐藤 45 58 62 ? ?

作成手順: 1. E2に =SUM(B2:D2) → フィルハンドルで下にコピー 2. F2に =IF(E2>=210,"合格","不合格") → 下にコピー(合計210点以上で合格) 3. B6に =AVERAGE(B2:B4) → 右にコピー(各科目の平均) 4. B7に =MAX(B2:B4) → 右にコピー(各科目の最高点) 5. B8に =COUNTIF(B2:B4,">=70") → 右にコピー(70点以上の人数)

まとめと次回の準備

今回のポイント: - 集計: SUM, AVERAGE, COUNT, MAX/MIN, SUMIF/COUNTIF - 論理: IF, AND/OR - 検索: VLOOKUP, INDEX+MATCH, XLOOKUP - 文字列: LEFT/RIGHT/MID, CONCATENATE, TEXT - 日付: TODAY/NOW, YEAR/MONTH/DAY

次回: データの書式設定と条件付き書式を学びます。数値に色を付けたり、データバーで視覚化したり — 「伝わる表」を作る技術です。

参考文献: - Microsoft公式「Excel関数(カテゴリ別)」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/excel-関数-カテゴリ別-5f91f4e9-7b42-46d2-9bd1-63f26a86c0eb) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年) - 藤井直弥・大山啓介『できるExcel 2021』(インプレス、2022年)

Lecture 4データの書式設定と条件付き書式 — 見やすい表を作る

10:00

データの書式設定と条件付き書式 — 見やすい表を作る

「正しいデータ」と「伝わるデータ」は違う

数値が正確でも、見た目が整っていなければ相手に伝わりません。エドワード・タフテ著『The Visual Display of Quantitative Information』(2001年)では、「データの見せ方がデータそのものと同じくらい重要」と述べられています。

Excelの書式設定は、データを変えずに「見た目」だけを変える機能です。セルの値は 1234567 のままで、表示を 1,234,567¥1,234,567 に変えることができます。

セルの書式設定 — 基本の6カテゴリ

セルを選択して Ctrl+1 で「セルの書式設定」ダイアログを開きます。

表示形式

カテゴリ 用途
数値 1,234.56 桁区切り、小数点桁数
通貨 ¥1,235 金額表示(通貨記号付き)
会計 ¥ 1,235 通貨記号を左揃え、数値を右揃え
日付 2024/1/15 各種日付形式
パーセンテージ 85.0% 小数を百分率表示
文字列 001234 先頭ゼロを保持

通貨と会計の違い: 通貨形式(¥1,235)は¥が数値の直前に付きますが、会計形式(¥ 1,235)は¥が左端に固定され、数値は右揃えになります。財務諸表では会計形式が標準です。

ユーザー定義の書式

「セルの書式設定 → 表示形式 → ユーザー定義」で独自の書式を作れます。

書式コード 表示例 用途
#,##0 1,234,567 桁区切り(整数)
#,##0.0 1,234,567.0 桁区切り(小数1桁)
0000 0042 ゼロ埋め4桁
yyyy"年"m"月"d"日" 2024年1月15日 和風日付
[>=1000000]#,##0,,"百万";#,##0 1百万 / 999 百万単位表示
#,##0;[赤]-#,##0 正は黒、負は赤 損益表示

書式コードの # は「数字があれば表示」、0 は「数字がなければゼロで埋める」を意味します。

フォント・配置・罫線

フォント設定

設定 推奨 理由
フォント 游ゴシック / Meiryo ビジネス文書の標準
サイズ 10-11pt 印刷時の読みやすさ
ヘッダー 太字 + 背景色 データ行との区別

游ゴシックはWindows 10以降の標準フォントで、画面表示と印刷の両方で読みやすいです。MSゴシックやMS明朝は表示がギザつくことがあるため、新規作成時は游ゴシックを推奨します。

配置

データ種類 配置 理由
文字列(項目名) 左揃え 読みやすさ
数値(金額・数量) 右揃え 桁位置を揃えて比較しやすく
日付 右揃えまたは中央 慣例
ヘッダー 中央揃え 視認性

数値は必ず右揃えにしてください。左揃えの数値は桁数がバラバラに見え、比較しづらくなります。

罫線のルール

罫線を引きすぎると表が重くなります。情報デザインの原則として、タフテは「不要なインク(chartjunk)を減らせ」と提唱しています。

推奨パターン: - ヘッダー行の下: 太線 - データ行の間: 細い線 or 罫線なし(交互色で代替) - 表の上下: 太線 - 縦罫線: 最小限(なくても読める場合は省略)

 商品名    単価    数量    売上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 コーヒー   350    120   42,000
 紅茶      300     80   24,000
 ジュース   200    200   40,000
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 合計                   106,000

条件付き書式 — データに意味を持たせる

条件付き書式は、セルの値に応じて自動的に書式(色、アイコン、データバー)を変える機能です。「ホーム」タブ →「条件付き書式」から設定します。

セルの強調表示ルール

設定方法: 範囲選択 → 条件付き書式 → セルの強調表示ルール

ルール 用途
指定の値より大きい 目標超えの強調 売上100万以上を緑に
指定の値より小さい 要注意の警告 在庫10個以下を赤に
指定の範囲内 正常範囲の表示 50-80点を黄色に
重複する値 重複データの発見 同じ商品コードを赤に

実務での活用例: - 売上表: 目標未達を赤、達成を緑 - 在庫管理: 在庫切れ間近を赤で警告 - 勤怠管理: 残業20時間超を赤で表示

データバー

セルの中に棒グラフを表示します。数値の大小を一目で比較できます。

設定: 範囲選択 → 条件付き書式 → データバー → 色を選択

売上数値の横にバーが表示され、視覚的に大小関係がわかります。セルに数値とバーが共存するため、表のスペースを節約できます。

カラースケール

セルの背景色をグラデーションで変化させます。ヒートマップの作成に使います。

設定: 範囲選択 → 条件付き書式 → カラースケール

  • 赤-黄-緑: 低い値が赤、高い値が緑(成績表、達成率)
  • 緑-黄-赤: 低い値が緑、高い値が赤(コスト、残業時間)

アイコンセット

セルに矢印や信号機のアイコンを表示します。

  • 3色信号: 🔴🟡🟢 で状態を表現
  • 矢印: ↑→↓ で増減を表現
  • : ★★☆ でランクを表現

数式を使った条件付き書式

「新しいルール → 数式を使用して…」を選ぶと、より柔軟な条件を設定できます。

例: 行全体に色を付ける

選択範囲: A2:D100、数式: =$C2="東京" → 書式: 背景色を水色

$C2のようにC列を絶対参照($C)にすることで、行全体(A列〜D列)に同じ条件が適用されます。

例: 土日の行をグレーにする

数式: =WEEKDAY($A2,2)>=6 → 背景色をグレー

WEEKDAYの第2引数2で月曜=1始まりにし、6以上(土・日)を判定しています。

条件付き書式の管理

条件付き書式が増えすぎるとパフォーマンスが低下し、ファイルサイズも膨らみます。

管理方法: ホーム → 条件付き書式 → ルールの管理

  • 不要なルールは削除する
  • 同じ範囲に複数のルールがある場合、優先順位を確認する(上のルールが優先)
  • 「条件を満たす場合は停止」にチェックを入れると、最初に一致したルールだけ適用される

テーブル機能 — 書式の自動適用

データ範囲をテーブルに変換すると、交互色の行(縞模様)が自動的に適用されます。

変換方法: データ範囲を選択 → Ctrl+T → OK

テーブルの利点: - 交互色が自動適用される - ヘッダーのフィルターボタンが自動追加 - 行を追加すると書式が自動拡張 - 数式で「構造化参照」が使える(=[@単価]*[@数量]

実践ワーク: 売上ダッシュボードを装飾する

前回の見積書に以下の書式を追加してください:

  1. ヘッダー行: 背景色を濃い青、文字色を白、太字
  2. 金額列: 桁区切り + 通貨記号(¥#,##0
  3. 合計行: 上に太い罫線、太字
  4. 条件付き書式: 小計が10,000円以上のセルを緑背景に
  5. データバー: 小計列にデータバーを追加
  6. テーブル変換(Ctrl+T)を試してみる

まとめと次回の準備

今回のポイント: - Ctrl+1でセルの書式設定ダイアログを開く - 数値は右揃え、文字列は左揃え - 罫線は最小限に、交互色で代替 - 条件付き書式: 強調ルール、データバー、カラースケール - テーブル(Ctrl+T)で書式の自動管理

次回: グラフ作成を学びます。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ — データを「一目で伝わる」形に変換する技術です。

参考文献: - Edward R. Tufte『The Visual Display of Quantitative Information』(Graphics Press、2001年) - Microsoft公式「条件付き書式を使用してデータのパターンと傾向を強調表示する」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/条件付き書式-fed60dfa-1d3f-4e13-9ecb-f1951ff89d7f) - 田中亨『Excelの本当に正しい使い方』(日経BP、2021年)

Lecture 5グラフ作成 — データを視覚化する技術

12:00

グラフ作成 — データを視覚化する技術

なぜグラフが必要なのか

人間の脳は、数値の羅列よりも視覚的なパターンをはるかに速く処理します。認知心理学者のColin Ware著『Information Visualization: Perception for Design』(2012年)によると、人間の視覚システムは色、長さ、位置の違いを約200ミリ秒で認識できますが、数値の比較には数秒かかります。

10行の数値表を見て「売上が最も高い月」を探すのに5秒かかるとしたら、棒グラフなら0.5秒です。グラフは「データを理解する時間を10分の1にする」ツールです。

グラフの種類と使い分け

Excelには多数のグラフ種類がありますが、業務で使うのは主に5種類です。

グラフ 用途
棒グラフ(縦) カテゴリ間の比較 月別売上、部門別予算
棒グラフ(横) 項目名が長い比較 都道府県別人口、商品名別売上
折れ線グラフ 時系列の変化 月次売上推移、気温変化
円グラフ 構成比 売上シェア、費用内訳
散布図 2変数の相関 広告費と売上の関係

選択の原則: - 「比較」→ 棒グラフ - 「推移」→ 折れ線グラフ - 「構成比」→ 円グラフ(項目5個以内) - 「相関」→ 散布図

Edward Tufteをはじめ多くのデータ可視化の専門家が「3Dグラフは使うな」と忠告しています。3D効果は見た目が派手ですが、正確な値の読み取りを妨げます。常に2Dグラフを使いましょう。

グラフの作成手順

基本手順(4ステップ)

1. データ範囲を選択 ヘッダー行を含めて選択します。Excelがヘッダーを自動認識してラベルに使います。

2. 挿入タブ → グラフを選択 「おすすめグラフ」でExcelが提案するグラフを見ることもできます。

3. グラフが作成される ワークシート上にグラフが配置されます。

4. デザイン・書式を調整 グラフをクリックすると「グラフのデザイン」「書式」タブが表示されます。

ショートカット

操作 ショートカット
グラフの作成 データ選択 → Alt+F1(現在のシートに作成)
グラフシートに作成 データ選択 → F11

Alt+F1で即座にグラフが生成されます。種類の変更は後からできるので、まず作ってから調整するのが効率的です。

棒グラフ — 最も汎用的

作成例: 月別売上

データ:

  A列     B列
  月     売上(万円)
  1月      120
  2月      135
  3月      180
  ...

手順: A1:B13を選択 → 挿入 → 縦棒グラフ → 集合縦棒

グラフ要素の名前

要素 説明 設定方法
グラフタイトル グラフの上部に表示 ダブルクリックで編集
横軸(カテゴリ軸) X軸のラベル 軸を右クリック → 軸の書式設定
縦軸(数値軸) Y軸の目盛り 軸を右クリック → 軸の書式設定
データラベル 棒の上に数値表示 グラフ要素ボタン(+) → データラベル
凡例 データ系列の説明 系列が1つなら不要→削除
目盛線 値の読み取り補助 主要な横線だけ残す

集合縦棒 vs 積み上げ縦棒

種類 用途 使い分け
集合縦棒 各カテゴリの比較 「東京と大阪、どちらが多い?」
積み上げ縦棒 合計と内訳 「全体の売上と、各部門の内訳は?」
100%積み上げ 構成比の推移 「各部門の割合はどう変化した?」

折れ線グラフ — 時系列データに最適

時間の経過に伴う変化を表現するなら折れ線グラフです。

作成のコツ: - 横軸は時間(月、年、日付) - 線は3本以内に抑える(多すぎると読めない) - 重要な変化点にマーカーを表示 - 最新データにデータラベルを付けると親切

2軸グラフ(複合グラフ)

売上(棒)と利益率(折れ線)のように、単位が異なるデータを1つのグラフに表示する場合に使います。

作成方法: 1. 2つのデータ系列を含むグラフを作成 2. 片方の系列を右クリック →「系列グラフの種類の変更」 3. 「組み合わせ」を選択 4. 利益率の系列を「第2軸」にチェック

円グラフ — 構成比の表示

使うべき場面: 全体に対する各部分の割合を見せたいとき。 使うべきでない場面: 項目が6個以上、正確な値の比較が必要なとき。

円グラフの問題点として、人間は角度の違いを正確に判断するのが苦手です。Stephen Few著『Show Me the Numbers』(2012年)では、「円グラフよりも棒グラフの方がほぼ常に効果的」と述べられています。

それでも円グラフが有効な場面はあります: - 項目が2〜4個 - 最大の項目が全体の50%以上を占める - 「この1つが全体の大半を占める」ことを強調したい

作成のコツ: - データラベルにパーセンテージを表示 - 最大の項目を12時の位置から開始(Excelのデフォルト) - 強調したい項目を「切り出し」表示

散布図 — 2変数の関係性

「広告費をかけるほど売上は増えるか?」のような、2つの数値の関係を調べるときに使います。

作成方法: X軸データ(広告費)とY軸データ(売上)を選択 → 挿入 → 散布図

近似曲線(トレンドライン)

散布図に近似曲線を追加すると、データの傾向が明確になります。

追加方法: データ点を右クリック → 近似曲線の追加 → 線形

R²値(決定係数)を表示すると、相関の強さがわかります: - R² > 0.7: 強い相関 - R² 0.4-0.7: 中程度の相関 - R² < 0.4: 弱い相関

グラフのデザイン改善

やるべきこと

  1. タイトルを具体的に: 「売上グラフ」→「2024年度 月別売上推移(東京支店)」
  2. 不要な要素を削除: 系列1つなら凡例は不要、3Dは使わない
  3. データラベルは厳選: 全部に付けると煩雑。最大値・最小値だけ表示
  4. 色は意味を持たせる: 目標超え=青、未達=赤
  5. 軸の範囲を適切に: 0から始める(途中から始めると差が誇張される)

やってはいけないこと

  1. 3Dグラフ: 正確な読み取りを妨げる
  2. 過度な装飾: グラデーション、影、回転は不要
  3. 軸を0以外から開始(意図的な誇張でない限り): 5%の差が50%に見える
  4. 色を多用しすぎる: 7色以上は区別困難。3-4色に抑える

実践ワーク: 4つのグラフを作成する

以下のデータで4種類のグラフを作成してください:

データ(月別・部門別売上):

営業部 マーケ部 開発部
1月 500 300 200
2月 520 280 210
3月 600 350 220
4月 580 320 230
  1. 集合縦棒グラフ: 3部門の月別比較
  2. 折れ線グラフ: 3部門の推移
  3. 円グラフ: 1月の部門別構成比
  4. 積み上げ縦棒: 月別の合計と内訳

まとめと次回の準備

今回のポイント: - 比較→棒、推移→折れ線、構成比→円、相関→散布図 - Alt+F1で即座にグラフ作成 - 3Dグラフ、過度な装飾は避ける - グラフタイトルは具体的に - データラベルは厳選して表示

次回: データの並べ替えとフィルターを学びます。1万行のデータから必要な情報だけを瞬時に抽出する技術です。

参考文献: - Colin Ware『Information Visualization: Perception for Design』3rd ed.(Morgan Kaufmann、2012年) - Stephen Few『Show Me the Numbers』2nd ed.(Analytics Press、2012年) - Microsoft公式「Excelでグラフを作成する」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/excel-でグラフを作成する-734bf882-043a-4519-9831-de7c39c5b948)

Lecture 6データの並べ替えとフィルター — 大量データを整理する

10:00

データの並べ替えとフィルター — 大量データを整理する

1万行のデータをどう扱うか

実務で扱うデータは数十行では済みません。顧客リスト5,000件、売上明細10,000行、アンケート回答3,000件 — こうしたデータを目で追うのは不可能です。

ここで威力を発揮するのが「並べ替え」と「フィルター」です。並べ替えはデータの順序を変え、フィルターは条件に合うデータだけを表示します。どちらもデータ自体は変更しません。

並べ替え(ソート)

基本の並べ替え

1列で並べ替え: 1. 並べ替えたい列のセルを1つクリック 2. 「データ」タブ → 「昇順(A→Z / 小→大)」または「降順(Z→A / 大→小)」

ショートカット: データ内のセルを選択して Alt+DS でソートダイアログが開きます。

複数条件の並べ替え

「部門で並べ替え → 同じ部門内は売上の大きい順」のように、優先順位をつけてソートできます。

手順: データ → 並べ替え → 「レベルの追加」

最優先: 部門(昇順)
次に:   売上(降順)

: | 部門 | 氏名 | 売上 | |------|------|------| | 営業部 | 佐藤 | 500 | | 営業部 | 田中 | 350 | | 営業部 | 鈴木 | 200 | | マーケ部 | 山田 | 450 | | マーケ部 | 高橋 | 300 |

並べ替えの注意点

問題 原因 対策
先頭行も並べ替えられた ヘッダーが認識されなかった ダイアログで「先頭行をデータの見出しとして使用する」にチェック
一部の列だけ並べ替えられた 範囲選択が不完全 データ範囲全体を選択するか、テーブル化(Ctrl+T)してからソート
数値が文字列として並ぶ セルが文字列形式 列を選択 → データ → 区切り位置 → 完了(数値に変換)
ふりがなで並ばない ふりがな情報がない 別列にPHONETIC関数でふりがな取得、その列でソート

テーブル化のすすめ: Ctrl+T でデータをテーブルに変換しておくと、並べ替え時に「一部の列だけずれる」事故を防げます。テーブル内のソートは必ず行単位で行われます。

フィルター(オートフィルター)

フィルターの基本

設定: データ範囲のセルを選択 → Ctrl+Shift+L(トグル)

ヘッダー行にドロップダウン矢印(▼)が表示されます。

操作方法: 1. ▼をクリック 2. 表示したい値にチェック、非表示にする値のチェックを外す 3. OK

フィルターは行を「非表示」にしているだけで、データは削除されていません。フィルターを解除すれば全行が復活します。

テキストフィルター

文字列の列では、以下の条件で絞り込めます:

条件 用途
等しい 完全一致 「東京」だけ表示
含む 部分一致 「東京」を含む(東京都、東京支店等)
始まる 前方一致 「A-」で始まる商品コード
終わる 後方一致 「株式会社」で終わる
ワイルドカード パターン *東京* = 東京を含む、A??? = Aで始まる4文字

ワイルドカードは *(任意の文字列)と ?(任意の1文字)を使います。

数値フィルター

数値列では、さらに細かい条件が使えます:

条件
〜より大きい 売上 > 1,000,000
〜以上 在庫 >= 100
〜の間 単価 500〜1000
トップテン 上位10件 or 上位10%
平均より上 平均を超える行

「トップテン」の活用: 正確には「上位/下位 N件」を指定できます。「売上トップ20」「下位5%」なども可能です。

日付フィルター

日付列では、期間での絞り込みが便利です:

条件
今日 / 昨日 / 明日 当日のデータ
今週 / 先週 / 来週 週単位
今月 / 先月 月単位
今四半期 Q1〜Q4
期間の指定 2024/1/1 〜 2024/3/31

色フィルター

条件付き書式でセルに色を付けている場合、その色でフィルターできます。「赤色のセルだけ表示」のように、視覚的に分類したデータを抽出できます。

複数列のフィルター(AND条件)

フィルターは複数の列に同時にかけられます。これはAND条件(すべて満たす行)になります。

: - A列(部門):「営業部」にチェック - B列(売上): 100万以上

→ 「営業部 かつ 売上100万以上」の行だけ表示

スライサー — ビジュアルなフィルター

Excel 2013以降、テーブルにも「スライサー」が使えます(元々はピボットテーブル専用でした)。

設定: テーブル内をクリック → テーブルデザイン → スライサーの挿入

ボタン形式のフィルターが表示され、クリックで即座にフィルタリングできます。Ctrlキーを押しながらクリックで複数選択も可能です。

ダッシュボード的な見せ方をしたいときに有効です。

並べ替え + フィルターの組み合わせ

フィルターで絞り込んだ状態で並べ替えると、表示中のデータだけがソートされます。

実務パターン: 1. フィルターで「東京支店」だけ表示 2. 売上列で降順ソート 3. → 東京支店の売上ランキングが完成

SUBTOTAL関数 — フィルター結果の集計

フィルターで絞り込んだデータの合計を出すとき、SUMを使うと非表示の行も含めて計算してしまいます。

SUBTOTAL関数はフィルターで非表示にした行を除外して集計します。

=SUBTOTAL(9, B2:B100)    → フィルター表示中の行だけ合計
=SUBTOTAL(1, B2:B100)    → フィルター表示中の行だけ平均
=SUBTOTAL(2, B2:B100)    → フィルター表示中の行だけ個数
関数番号 関数 非表示行の扱い
1 / 101 AVERAGE 101は手動非表示も除外
2 / 102 COUNT 同上
9 / 109 SUM 同上
4 / 104 MAX 同上
5 / 105 MIN 同上

テーブルの集計行(テーブルデザイン → 集計行にチェック)は、自動的にSUBTOTALを使います。

実践ワーク: 売上データを分析する

以下の売上データ(20行以上)を作成し、分析してください:

日付 支店 商品カテゴリ 売上 担当者
2024/1/5 東京 食品 45,000 田中
2024/1/8 大阪 家電 120,000 山田
... ... ... ... ...

分析課題: 1. テーブル化(Ctrl+T) 2. 売上の大きい順に並べ替え → トップ5は? 3. 「東京支店」だけフィルタ → 東京の合計売上は?(SUBTOTAL使用) 4. 「食品カテゴリ」かつ「売上50,000以上」をフィルタ 5. 日付フィルターで「1月」だけ表示 6. フィルター解除(Ctrl+Shift+L 2回)

まとめと次回の準備

今回のポイント: - 並べ替え: 1列ソートはワンクリック、複数条件はダイアログ - フィルター: Ctrl+Shift+Lでトグル - テキスト/数値/日付それぞれの絞り込み条件 - SUBTOTAL関数でフィルター結果だけを集計 - テーブル化で並べ替え・フィルターの事故を防止

次回: 印刷設定とシート管理を学びます。見栄えの良い印刷物を作り、複数シートを効率的に管理する技術 — 「作った表を人に渡す」最後の仕上げです。

参考文献: - Microsoft公式「Excelでデータの並べ替えとフィルター処理を行う」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/excel-でのフィルター-7f5c00bf-44b0-4a35-aae5-729b5c5f6ab1) - 田中亨『Excelの本当に正しい使い方』(日経BP、2021年) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年)

Lecture 7印刷設定とシート管理 — 業務で使える仕上げ技術

10:00

印刷設定とシート管理 — 業務で使える仕上げ技術

画面と紙は別世界

Excel で表を作成した後、「印刷したら2ページ目に1列だけはみ出た」「ヘッダーが2ページ目以降に表示されない」という経験は誰にでもあるでしょう。画面上で完璧に見えても、印刷すると崩れるのがExcelの常です。

印刷設定は地味な作業ですが、社内報告書、請求書、見積書など「紙で渡す資料」の品質を決定づけます。Microsoft公式サポートの「ワークシートを印刷する」ページでも、印刷プレビューの確認を最初のステップとして推奨しています。

印刷プレビュー — まず確認

ショートカット: Ctrl+P(印刷画面を開く)

印刷プレビューで確認すべきポイント: 1. 全体がページ内に収まっているか 2. ページ数は想定通りか 3. ヘッダー・フッターは正しいか 4. 改ページの位置は適切か

ページ設定 — 6つの基本項目

「ページレイアウト」タブから設定します。

1. 用紙の向き

設定 用途
縦(ポートレート) 行数が多い表、文書型のレイアウト
横(ランドスケープ) 列数が多い表(月別×部門のマトリックス等)

列が8列以上ある場合は横向きを検討してください。

2. 用紙サイズ

日本のビジネス文書ではA4が標準です。大きな表はA3に出力することもありますが、プリンターの対応状況を確認してください。

3. 余白

余白 推奨値 用途
標準 上下19.1mm, 左右17.8mm 一般的な文書
狭い 上下6.4mm, 左右6.4mm なるべく多く収めたい場合
ユーザー設定 任意 ファイル綴じ用に左余白を広く等

ファイリングする資料は、綴じ側の余白を25mm以上に設定すると穴を開けても内容が隠れません。

4. 拡大/縮小印刷

シートを1ページに収める: ページレイアウト → 拡大縮小印刷 → 「幅: 1ページ」「高さ: 1ページ」

ただし、極端に縮小されると文字が読めなくなります。70%以下になる場合は、用紙を横向きにするか、A3にするか、内容を分割してください。

幅だけ1ページに収める(高さは自動): 「幅: 1ページ」「高さ: 自動」— これが最も汎用的な設定です。列がはみ出る問題を解決しつつ、行数に応じて自然に改ページされます。

5. 印刷タイトル(行の繰り返し)

複数ページにまたがる表では、2ページ目以降にヘッダー行がないと何の列かわからなくなります。

設定: ページレイアウト → 印刷タイトル → 「タイトル行: $1:$1`」

これで全ページの先頭に1行目(ヘッダー)が印刷されます。

6. 印刷範囲の設定

シートの一部だけを印刷したい場合:

設定: 範囲を選択 → ページレイアウト → 印刷範囲 → 「印刷範囲の設定」

解除: ページレイアウト → 印刷範囲 → 「印刷範囲のクリア」

改ページの制御

改ページプレビュー

表示方法: 表示 → 改ページプレビュー(またはステータスバーのアイコン)

青い実線が印刷されるページの境界、青い点線が自動改ページの位置です。点線はドラッグで移動できます。

手動改ページの挿入

「ここでページを分けたい」場合: 1. 改ページしたい行のセルを選択 2. ページレイアウト → 改ページ → 「改ページの挿入」

削除: 同じ場所で「改ページの削除」

ヘッダーとフッター

ページ番号、日付、ファイル名などを各ページに自動印刷します。

設定方法: 1. 挿入 → ヘッダーとフッター(ページレイアウトビューに切り替わる) 2. 左・中央・右の3つの領域に内容を配置

よく使うヘッダー/フッター要素

要素 コード 表示例
ページ番号 &[ページ番号] 1, 2, 3...
総ページ数 &[総ページ数] 5
日付 &[日付] 2024/1/15
ファイル名 &[ファイル名] 売上報告.xlsx
シート名 &[シート名] 1月度

定番の組み合わせ: - ヘッダー中央: レポートタイトル - フッター左: ファイル名 - フッター中央: &[ページ番号] / &[総ページ数](例: 1 / 5) - フッター右: 印刷日(&[日付]

シート管理

基本操作

操作 方法
シート追加 シートタブの + をクリック / Shift+F11
シート名変更 タブをダブルクリック → 入力
シート移動 タブをドラッグ
シートコピー Ctrl を押しながらタブをドラッグ
シート削除 タブを右クリック → 削除(元に戻せない!
シートの色 タブを右クリック → シート見出しの色

注意: シートの削除は Ctrl+Z で戻せません。重要なシートを誤って削除しないよう、削除前にファイルを保存しておくか、シートを非表示にする(右クリック → 非表示)方が安全です。

シート間の参照

別シートのセルを参照する場合:

=Sheet2!B5              → Sheet2シートのB5セル
='1月売上'!B5            → 「1月売上」シートのB5セル(スペースや日本語はシングルクォートで囲む)
=SUM('1月売上:3月売上'!B5) → 1月売上〜3月売上シートのB5を合計(3D参照)

3D参照は、月別シートの同じ位置にある数値を串刺し計算するときに便利です。1月〜12月のシートがあれば、=SUM('1月:12月'!B5) で年間合計が出ます。

シートの整理方法

業務ファイルでシートが増えすぎると管理が困難になります。

推奨パターン: - 目次シート: 先頭に目次シートを作り、各シートへのハイパーリンクを設置 - 色分け: 入力シート=青、計算シート=緑、出力シート=赤 - 命名規則: 「01_売上データ」「02_集計」「03_グラフ」のように番号付き - 非表示: 参照用の中間シートは非表示にして見た目をすっきりさせる

シートの保護

他の人に渡すファイルで、特定のセルだけ入力可能にしたい場合:

  1. 入力可能にするセルを選択 → Ctrl+1 → 保護タブ → 「ロック」のチェックを外す
  2. 校閲 → シートの保護 → パスワード設定(任意)→ OK

これで、ロックを外したセル以外は編集できなくなります。テンプレートとして配布する帳票に最適です。

実践ワーク: 見積書を印刷用に仕上げる

これまでに作成した見積書を印刷可能な状態に仕上げてください:

  1. 用紙: A4縦
  2. 余白: 上25mm、下20mm、左25mm(ファイリング用)、右15mm
  3. ヘッダー中央: 「御見積書」
  4. フッター中央: ページ番号 / 総ページ数
  5. フッター右: 印刷日
  6. 印刷タイトル: 1行目を繰り返し
  7. Ctrl+P でプレビュー確認

まとめと次回の準備

今回のポイント: - Ctrl+Pで印刷プレビュー必ず確認 - 「幅: 1ページ」設定が最も汎用的 - 印刷タイトルで2ページ目以降にヘッダー表示 - ヘッダー/フッターにページ番号と日付 - シート間参照: =Sheet名!セル、3D参照で串刺し計算 - シートの保護で入力セルを制限

次回: Module 2に入り、ピボットテーブルを学びます。「データ分析の最強ツール」と呼ばれる理由を体感してください。

参考文献: - Microsoft公式「ワークシートを印刷する」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/ワークシートを印刷する-22e05a77-3a86-4a8f-891f-4cfc36d0bb68) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年) - 羽毛田睦土『できるYouTuber式 Excel現場の教科書』(インプレス、2019年)

Lecture 8ピボットテーブル — データ分析の最強ツール

12:00

ピボットテーブル — データ分析の最強ツール

ピボットテーブルとは何か

ピボットテーブルは、大量のデータを瞬時に集計・分析する機能です。「ピボット(pivot)」は「軸」を意味し、データの見方の軸を自在に切り替えられることからこの名が付きました。

たとえば、10,000行の売上データがあるとき: - 「月別の売上合計を知りたい」→ ピボットテーブルで3秒 - 「支店別×商品カテゴリ別のクロス集計」→ 5秒 - 「集計の軸を四半期に変えたい」→ ドラッグ&ドロップで2秒

SUMIFやCOUNTIFで同じ集計を作るには、条件を一つずつ設定して数十分かかります。ピボットテーブルはその作業を数秒に短縮します。

Microsoft社が2019年に実施したExcelユーザー調査によると、ピボットテーブルを日常的に使うユーザーのデータ分析速度は、関数ベースのユーザーの約5倍だったとされています。

ピボットテーブルの作成

元データの条件

ピボットテーブルの元データには以下の条件が必要です:

条件 理由
1行目にヘッダー 列の名前としてフィールドに使用される
空白行・空白列がない 範囲の自動認識が途切れる
1セルに1つのデータ 「東京/大阪」のような複合データは集計できない
セル結合がない 結合セルはピボットテーブルで正しく認識されない
データ型の統一 同じ列に数値と文字列が混在すると集計不可

理想的な元データ:

日付 支店 カテゴリ 商品名 単価 数量 売上
2024/1/5 東京 食品 コーヒー 350 100 35,000
2024/1/5 大阪 家電 イヤホン 2,500 20 50,000
... ... ... ... ... ... ...

作成手順

  1. 元データ内のセルを1つクリック
  2. 「挿入」タブ →「ピボットテーブル」
  3. テーブルまたは範囲が自動選択される → OK
  4. 新しいシートにピボットテーブルが作成される

4つのエリア

ピボットテーブルの右側に「フィールドリスト」が表示されます。列名を4つのエリアにドラッグして配置します。

エリア 役割
縦方向の分類 支店名、商品カテゴリ
横方向の分類 月、四半期
集計する数値 売上(合計)、数量(合計)
フィルター 全体の絞り込み 年度、地域

例: 支店別×月別の売上クロス集計 - 行: 支店 - 列: 日付(月でグループ化) - 値: 売上(合計)

結果:

1月 2月 3月 総計
東京 500,000 520,000 600,000 1,620,000
大阪 350,000 380,000 400,000 1,130,000
福岡 200,000 210,000 250,000 660,000
総計 1,050,000 1,110,000 1,250,000 3,410,000

値の集計方法

デフォルトは「合計」ですが、他の集計方法も選べます。

変更方法: 値エリアのフィールドをクリック →「値フィールドの設定」

集計方法 用途
合計 売上合計、数量合計
個数 取引件数、回答数
平均 平均単価、平均点
最大/最小 最高売上、最低在庫

計算の種類(表示形式)

「値の表示方法」を変更すると、さらに有用な分析ができます。

表示方法 意味 用途
計算なし 生の集計値 通常の合計表示
総計に対する比率 全体に対する割合 「東京は全体の何%?」
列集計に対する比率 各月内での割合 「1月の中で東京は何%?」
行集計に対する比率 各支店内での割合 「東京の中で1月は何%?」
前の値との差分 前月比の増減 「先月からいくら変化した?」
前の値に対する比率 前月比の割合 「先月比110%」
累計 1月からの積み上げ 「3月までの累計売上」

日付のグループ化

日付フィールドを行または列に置くと、自動的に月・四半期・年でグループ化されます(Excel 2016以降)。

手動でグループ化する場合: 1. ピボットテーブルの日付セルを右クリック 2. 「グループ化」を選択 3. 月、四半期、年などを選択(複数選択可)

四半期分析:「月」と「四半期」を両方選択すると、四半期の中に月が展開される階層構造になります。

スライサーとタイムライン

スライサー

ピボットテーブル専用のビジュアルフィルターです。

設定: ピボットテーブル分析 → スライサーの挿入 → フィールドを選択

ボタンをクリックするだけで、ピボットテーブルが即座にフィルタリングされます。複数のスライサーを並べれば、ダッシュボード風の操作画面が作れます。

タイムライン

日付フィールド専用のスライサーです。バーをスライドして期間を視覚的に選択できます。

設定: ピボットテーブル分析 → タイムラインの挿入

「3月〜6月の売上だけ見たい」→ タイムラインで期間をドラッグするだけ。

ピボットグラフ

ピボットテーブルから直接グラフを作成できます。

作成: ピボットテーブル分析 → ピボットグラフ → グラフの種類を選択

ピボットグラフはピボットテーブルと連動しています。スライサーで絞り込むと、グラフもリアルタイムで更新されます。

レポートレイアウト

ピボットテーブルのデフォルトレイアウト(コンパクト形式)は画面では見やすいですが、印刷や他システムへの貼り付けには不向きです。

変更: デザイン → レポートのレイアウト

レイアウト 特徴 用途
コンパクト形式 行ラベルが1列にまとまる 画面での確認
アウトライン形式 各フィールドが別の列に展開 印刷用
表形式 各行にすべてのラベルを繰り返し 他システムへのエクスポート

表形式で「小計を表示しない」設定にすると、データベースのようなフラットな表になり、他のツールへの貼り付けが楽になります。

実践ワーク: 売上分析レポートを作る

前回作成した売上データ(20行以上)でピボットテーブルを作成してください:

課題1: 基本のクロス集計 - 行: 支店 - 列: 商品カテゴリ - 値: 売上(合計)

課題2: 月別推移 - 行: 日付(月でグループ化) - 値: 売上(合計)

課題3: 構成比分析 - 行: 支店 - 値: 売上(「総計に対する比率」で表示)

課題4: ダッシュボード - スライサー: 支店、商品カテゴリ - タイムライン: 日付 - ピボットグラフ: 棒グラフ

まとめと次回の準備

今回のポイント: - ピボットテーブルは4つのエリア(行・列・値・フィルター)にフィールドをドラッグして作る - 元データはヘッダー付き・空白なし・結合なしが鉄則 - 値の表示方法で「比率」「前月比」「累計」などの分析が可能 - スライサーとタイムラインでインタラクティブなダッシュボードを作成 - ピボットグラフはテーブルと連動して自動更新

次回: マクロとVBA入門。繰り返し作業を自動化する、Excelの「プログラミング」に踏み込みます。

参考文献: - Microsoft公式「ピボットテーブルを作成してワークシートデータを分析する」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/ピボットテーブルを作成する-a9a84538-bfe9-40a9-a8e9-f99134456576) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年) - 早坂清志『Excelピボットテーブル データ集計・分析の「引き出し」が増える本 第2版』(翔泳社、2022年)

Lecture 9マクロとVBA入門 — 繰り返し作業を自動化する

15:00

マクロとVBA入門 — 繰り返し作業を自動化する

「毎月同じ作業を2時間やっている」問題

月末の売上報告書を作るために、毎回同じ手順を繰り返していませんか?

  1. データをコピーして新しいシートに貼り付け
  2. 列幅を調整して書式を設定
  3. 合計行を追加
  4. グラフを更新
  5. PDFに変換して保存

この30分の作業を、ボタン1つ・3秒で完了できるのがマクロです。年間で360分(6時間)の作業が36秒になります。

マクロとVBAの違い

用語 意味
マクロ Excelの操作を記録・再生する機能の総称
VBA Visual Basic for Applications。マクロの「中身」のプログラミング言語

マクロは料理の「レシピ」、VBAはレシピに書かれた「手順の文章」のようなものです。「マクロの記録」機能を使えばVBAを書かなくてもマクロは作れますが、VBAを理解すれば、記録では作れない高度な自動化が可能になります。

マクロの記録 — プログラミング不要の自動化

開発タブの表示

デフォルトでは「開発」タブが非表示です。

設定: ファイル → オプション → リボンのユーザー設定 → 「開発」にチェック → OK

マクロの記録手順

  1. 開発タブ → マクロの記録
  2. マクロ名を入力(例: 月次報告書作成)、ショートカットキーを設定(任意)
  3. OK → 記録開始(ステータスバーに■アイコン表示)
  4. 自動化したい操作を実際に行う
  5. 開発タブ → 記録終了(または ステータスバーの■をクリック)

記録中の操作がすべてVBAコードとして保存されます。

記録のコツ

コツ 理由
事前に手順を整理してから記録開始 操作ミスも記録される
マウスよりキーボード操作を多用 より汎用的なコードが記録される
操作の最初にセルA1を選択 開始位置を統一
不要な操作をしない 余計なコードが増えて遅くなる

マクロの実行

方法 手順
メニューから 開発 → マクロ → 実行
ショートカット 記録時に設定した Ctrl+〇
ボタンから シートにボタンを配置(後述)

VBAエディターの基本

VBAエディターを開く

ショートカット: Alt+F11

VBAエディター(VBE)の画面構成:

領域 説明
プロジェクトウィンドウ(左上) ブック内のモジュール一覧
プロパティウィンドウ(左下) 選択中のオブジェクトのプロパティ
コードウィンドウ(右) VBAコードの編集エリア

マクロの記録結果を読む

「A1に"売上報告"と入力して太字にする」操作を記録すると:

Sub 月次報告書作成()
    Range("A1").Select
    ActiveCell.FormulaR1C1 = "売上報告"
    Selection.Font.Bold = True
End Sub
コード 意味
Sub ... End Sub マクロの開始と終了
Range("A1").Select A1セルを選択
ActiveCell.FormulaR1C1 = "売上報告" 選択セルに値を入力
Selection.Font.Bold = True 選択範囲を太字に

VBAの基本文法

変数

Dim sales As Long          ' 整数型
Dim taxRate As Double       ' 小数型
Dim name As String          ' 文字列型
Dim today As Date           ' 日付型

sales = 1000000
taxRate = 0.1
name = "田中"
today = Date                ' 今日の日付

セル操作

' セルに値を設定
Range("A1").Value = "売上報告"
Cells(1, 1).Value = "売上報告"    ' 行番号, 列番号で指定

' セルの値を読み取り
Dim val As Long
val = Range("B2").Value

' 範囲の操作
Range("A1:D1").Font.Bold = True          ' 太字
Range("B2:B10").NumberFormat = "#,##0"   ' 桁区切り
Range("A1").CurrentRegion.Select          ' データ範囲全体を選択

Range("A1") はアドレス指定、Cells(行, 列) は番号指定です。ループ処理では Cells が便利です。

条件分岐(If文)

If Range("B2").Value >= 1000000 Then
    Range("B2").Font.Color = RGB(0, 128, 0)   ' 緑
ElseIf Range("B2").Value >= 500000 Then
    Range("B2").Font.Color = RGB(0, 0, 0)      ' 黒
Else
    Range("B2").Font.Color = RGB(255, 0, 0)    ' 赤
End If

繰り返し(For文)

' B2〜B100の各セルをチェック
Dim i As Long
For i = 2 To 100
    If Cells(i, 2).Value >= 1000000 Then
        Cells(i, 2).Font.Color = RGB(0, 128, 0)
    End If
Next i

メッセージボックス

MsgBox "処理が完了しました!", vbInformation, "完了"

Dim result As VbMsgBoxResult
result = MsgBox("本当に実行しますか?", vbYesNo + vbQuestion, "確認")
If result = vbYes Then
    ' 実行処理
End If

実用マクロの例

例1: データ整形マクロ

Sub データ整形()
    ' 列幅の自動調整
    Cells.EntireColumn.AutoFit

    ' ヘッダー行の書式設定
    With Range("A1").CurrentRegion.Rows(1)
        .Font.Bold = True
        .Interior.Color = RGB(0, 51, 102)    ' 濃い青
        .Font.Color = RGB(255, 255, 255)      ' 白
        .HorizontalAlignment = xlCenter
    End With

    ' 金額列に桁区切り
    Range("D2:D" & Cells(Rows.Count, 4).End(xlUp).Row).NumberFormat = "¥#,##0"

    MsgBox "整形完了!"
End Sub

例2: 月別シート自動作成

Sub 月別シート作成()
    Dim i As Long
    Dim monthName As String

    For i = 1 To 12
        monthName = i & "月"

        ' シートが存在しなければ作成
        On Error Resume Next
        If Sheets(monthName) Is Nothing Then
            Sheets.Add After:=Sheets(Sheets.Count)
            ActiveSheet.Name = monthName
        End If
        On Error GoTo 0
    Next i

    MsgBox "1月〜12月のシートを作成しました!"
End Sub

ボタンの配置

マクロをボタンから実行できるようにします。

手順: 1. 開発 → 挿入 → フォームコントロール →「ボタン」 2. シート上でドラッグしてボタンを配置 3. マクロの登録ダイアログで実行するマクロを選択 4. ボタンのテキストを変更(右クリック → テキストの編集)

ボタンに「月次報告書作成」と書いておけば、誰でもワンクリックでマクロを実行できます。

マクロのセキュリティ

ファイル形式

マクロを含むファイルは .xlsm(マクロ有効ブック)で保存する必要があります。.xlsx で保存するとマクロが消えます。

拡張子 マクロ 用途
.xlsx 不可 通常のExcelファイル
.xlsm 可能 マクロ付きファイル
.xlsb 可能 バイナリ形式(大容量向け)

マクロのセキュリティ設定

ファイル → オプション → セキュリティセンター → 「マクロの設定」

設定 意味
すべてのマクロを無効にする 安全だが不便
警告を表示してマクロを無効にする(推奨) 信頼するファイルだけ有効化
すべてのマクロを有効にする 危険(非推奨)

不明な送信元からのマクロ付きファイルは絶対に「マクロを有効にする」を押さないでください。マクロはファイルの読み書きやプログラムの実行ができるため、悪意のあるマクロはウイルスと同じ危険性があります。

実践ワーク: 初めてのマクロを作る

  1. マクロの記録: 以下の操作を記録する
  2. A1に「売上報告書」と入力
  3. A1のフォントサイズを16pt、太字に設定
  4. A3:D3に「日付」「支店」「商品」「売上」と入力
  5. A3:D3を太字、背景色を水色に設定
  6. 列幅を自動調整

  7. マクロの実行: 新しいシートに切り替えて、記録したマクロを実行

  8. VBAコードの確認: Alt+F11で記録されたコードを確認する

  9. コードの編集: セルA1の文字列を「月次売上報告」に書き換えて再実行

まとめと次回の準備

今回のポイント: - マクロの記録で、プログラミングなしで自動化できる - VBAの基本: Sub/End Sub、変数、Range/CellsIf/For - マクロ付きファイルは .xlsm で保存 - セキュリティ: 不明なマクロは実行しない - ボタン配置で誰でもワンクリック実行

次回(最終回): これまでの全スキルを統合して、売上レポートを一から作成する総合演習です。

参考文献: - Microsoft公式「Excel VBA リファレンス」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/office/vba/api/overview/excel) - 大村あつし『かんたんだけどしっかりわかるExcelマクロ・VBA入門』(SBクリエイティブ、2022年) - 国本温子『Excel VBA 逆引き辞典パーフェクト 第3版』(翔泳社、2020年)

Lecture 10総合演習 — 売上レポートを一から作成する

15:00

総合演習 — 売上レポートを一から作成する

この講座で学んだスキルの全体像

9つの講義を通じて、Excelの基礎から応用まで幅広いスキルを身につけました。最終回では、それらを統合して実務で使える売上レポートを一から作成します。

講義 学んだスキル 本演習での活用
第1回 画面構成・基本操作 シート管理、ショートカット
第2回 セル参照・数式 相対参照・絶対参照の使い分け
第3回 必須関数15選 SUM, IF, VLOOKUP, COUNTIF
第4回 書式設定・条件付き書式 見やすい表のデザイン
第5回 グラフ作成 棒グラフ・折れ線グラフ
第6回 並べ替え・フィルター データ抽出・SUBTOTAL
第7回 印刷設定・シート管理 印刷用レイアウト
第8回 ピボットテーブル クロス集計・ダッシュボード
第9回 マクロ・VBA レポート自動化

演習の概要

架空の企業「CLANテクノロジー株式会社」の2024年上半期売上データを使って、以下を作成します:

  1. データシート: 売上明細(元データ)
  2. 集計シート: 関数による月別・支店別集計
  3. ピボット分析シート: ピボットテーブルによるクロス集計
  4. ダッシュボードシート: グラフ + スライサー
  5. 印刷用レポートシート: 上司に提出する形式

Step 1: 元データの作成

シート「売上データ」

以下のヘッダーで売上データを30行以上入力してください(実際に手で入力することで、データ入力の感覚が身につきます):

日付 支店 担当者 商品カテゴリ 商品名 単価 数量 売上
2024/1/5 東京 田中 ソフトウェア 会計ソフト 50,000 3 ?
2024/1/8 大阪 山田 ハードウェア ノートPC 120,000 2 ?
2024/1/12 東京 佐藤 サービス サポート契約 30,000 5 ?
... ... ... ... ... ... ... ...

条件: - 支店: 東京、大阪、福岡の3拠点 - 担当者: 支店ごとに2-3名 - 商品カテゴリ: ソフトウェア、ハードウェア、サービスの3種類 - 期間: 2024年1月〜6月

売上列の数式

H2セルに:

=F2*G2

フィルハンドルで下にコピー。

テーブル化

データ範囲を選択 → Ctrl+T → OK

テーブル名を「売上データ」に変更(テーブルデザインタブ → テーブル名)。

Step 2: 関数による集計シート

シート「月別集計」

月別売上の集計表:

売上合計 件数 平均単価 目標 達成率
1月 =SUMIFS(...) =COUNTIFS(...) =AVERAGEIFS(...) 2,000,000 =B2/E2
2月 ... ... ... 2,000,000 ...
... ... ... ... ... ...

使用する関数:

売上合計:
=SUMIFS(売上データ[売上], 売上データ[日付], ">="&DATE(2024,A2,1), 売上データ[日付], "<"&DATE(2024,A2+1,1))

件数:
=COUNTIFS(売上データ[日付], ">="&DATE(2024,A2,1), 売上データ[日付], "<"&DATE(2024,A2+1,1))

テーブルの構造化参照(売上データ[売上])を使うと、行が追加されても自動で範囲が拡張されます。

支店別集計

支店 売上合計 構成比 前年比
東京 =SUMIF(売上データ[支店],"東京",売上データ[売上]) =B2/B5 -
大阪 ... ... -
福岡 ... ... -
合計 =SUM(B2:B4) 100% -

達成率の列には条件付き書式を設定: - 100%以上 → 緑背景 - 80%以上 → 黄背景 - 80%未満 → 赤背景

担当者別ランキング

VLOOKUPまたはINDEX+MATCHを使って、売上トップ担当者を表示:

=INDEX(売上データ[担当者], MATCH(MAX(売上データ[売上]), 売上データ[売上], 0))

Step 3: ピボットテーブル分析

シート「ピボット分析」

元データからピボットテーブルを作成:

テーブル1: 支店×カテゴリのクロス集計 - 行: 支店 - 列: 商品カテゴリ - 値: 売上(合計)

テーブル2: 月次推移 - 行: 日付(月でグループ化) - 値: 売上(合計)、件数(個数)

テーブル3: 担当者別売上ランキング - 行: 担当者 - 値: 売上(合計) - 並べ替え: 降順

Step 4: ダッシュボードシート

シート「ダッシュボード」

1つのシートに以下を配置:

上部: KPI(重要指標)

総売上 件数 平均単価 目標達成率
¥XX,XXX,XXX XX件 ¥XX,XXX XX%

左側: 月別売上の棒グラフ(目標ラインを破線で追加)

右側: 支店別構成比の円グラフ

下部: カテゴリ別売上の横棒グラフ

スライサー: 支店、商品カテゴリ

ピボットテーブルとピボットグラフを組み合わせ、スライサーですべてが連動するようにします。

ダッシュボードのデザイン

  • 背景色: 薄いグレー(RGB(245, 245, 245)
  • KPI部分: 白背景、大きなフォント
  • グラフ: 枠線なし、白背景
  • 目盛線: 最小限

Step 5: 印刷用レポート

シート「月次レポート」

上司に提出する形式のレポートを作成:

構成:

A1: CLANテクノロジー株式会社
A2: 2024年上半期 売上報告書
A3: 作成日: =TODAY()

[月別集計表]   集計シートからリンク
[支店別集計表]
[担当者ランキング](トップ5
[月別推移グラフ]   グラフをコピー&貼り付け

最下行: 所見・コメント欄

印刷設定: - 用紙: A4横 - 余白: 狭い - ヘッダー: 「機密」(右揃え) - フッター: ページ番号 / 総ページ数 - 印刷タイトル: 1行目を繰り返し - 拡大縮小: 幅1ページ

Step 6: マクロによる自動化(チャレンジ)

レポート作成を自動化するマクロを記録してください:

Sub レポート更新()
    ' 1. ピボットテーブルを更新
    Sheets("ピボット分析").PivotTables("売上分析").RefreshTable

    ' 2. 印刷用シートの日付を更新
    Sheets("月次レポート").Range("A3").Value = "作成日: " & Format(Date, "yyyy/mm/dd")

    ' 3. 書式の再適用
    With Sheets("月次レポート")
        .Range("A1:H1").Font.Size = 14
        .Range("A1:H1").Font.Bold = True
    End With

    MsgBox "レポートを更新しました!", vbInformation
End Sub

このマクロをボタンに割り当てれば、毎月のレポート更新がワンクリックで完了します。

完成チェックリスト

以下の項目がすべて完了しているか確認してください:

# 項目 確認
1 売上データがテーブル化されている
2 売上列は数式(=単価×数量)で計算
3 月別集計がSUMIFS/COUNTIFSで作成されている
4 達成率に条件付き書式(赤・黄・緑)が設定されている
5 ピボットテーブルでクロス集計ができている
6 ダッシュボードにグラフとスライサーがある
7 印刷用レポートが A4 に収まっている
8 ヘッダー/フッターにページ番号と日付がある
9 ファイルが .xlsm で保存されている(マクロ使用時)

この講座の振り返り

10回の講義を通じて、Excelの以下のスキルを習得しました:

基礎レベル(第1-4回): - セル参照、数式、関数の基本 - 書式設定で「伝わる表」を作る技術

中級レベル(第5-7回): - グラフでデータを視覚化 - フィルターで大量データを操作 - 印刷・シート管理で仕上げる

上級レベル(第8-10回): - ピボットテーブルで高速分析 - マクロ/VBAで自動化 - 全スキル統合の実践力

さらに学びたい方へ

Excelの学習に「完了」はありません。以下の方向に進むことができます:

方向 内容 おすすめリソース
Power Query データの取得・変換(ETL) Microsoft公式ドキュメント
Power Pivot 大量データの高速集計(DAX) Rob Collie『DAX Formulas for PowerPivot』
VBA本格化 ユーザーフォーム、API連携、Web操作 大村あつし『パーフェクトExcel VBA』
Power BI ビジネスインテリジェンス Microsoft Power BI Desktop(無料)
Python連携 openpyxl, pandas でExcel自動化 当プラットフォームの「Python入門」コース

最後に: Excelのスキルは「使ってこそ」身につきます。この講座で学んだ内容を、明日の業務で1つでも実践してみてください。最初はCtrl+Shift+Lでフィルターをかけるだけでも構いません。「Excelができる人」と「Excelを使う人」の差は、こうした小さな一歩の積み重ねです。

参考文献: - Microsoft公式「Excelのヘルプとラーニング」(https://support.microsoft.com/ja-jp/excel) - 日花弘子『Excel 最強の教科書 完全版 第2版』(SBクリエイティブ、2023年) - 早坂清志『Excelピボットテーブル データ集計・分析の「引き出し」が増える本 第2版』(翔泳社、2022年) - 大村あつし『かんたんだけどしっかりわかるExcelマクロ・VBA入門』(SBクリエイティブ、2022年)