あなたのアイデアはビジネスになりますか?
ビジネスにするために必要な3つのこと
お客様の立場で考えることの大切さがわかり、あなたの「できること」や「やりたいこと」も見えてきたところで、次はそれぞれの要素をもう少し具体的に掘り下げる作業へと進みます。これを事業プランの落とし込みといってこの作業であなたのアイデアがビジネスになるかどうかを確認することができます。
頭の中を整理するため、簡単な図表にしてみましょう。「お客様の立場」については、ここからはマーケティング用語の「ニーズがあること」に置き換えます。ビジネスが成り立つのは3つの要素が交わる赤色の部分です。
「やりたくてニーズがあるけど自分にはできない」場合
まずできるようになる必要があります。しかし、自信がないからといって、いつまでも資格取得や勉強ばかりしていると、起業のタイミングを逸してしまいかねません。事業を起こす気持ちがあるなら、ある程度、計画的に準備を進めましょう。
「できる自信がありニーズもあるけど熱意がない」場合
家業を継ぐようなケースなら、最初はやる気がなくても、少しずつ親の背中を見ながら熱意がなければ、続けること自体むずかしくなるので、起業する分野(チャレンジする領域)を見直したほうがよいでしょう。
これら2つのパターンで起業するパターンは実はあまりなく、一番多いのが「できてやりたいけれどニーズがない」場合です。
「できてやりたいけれどニーズがない」場合
個人で事業を立ち上げる場合、大企業がやる大がかりな市場調査(リサーチ)などはできませんが、ターゲット層に近い人が身近にいるなら、あなたのプランに関心があるかどうか聞いてみたり、インターネットでヤフー知恵袋や教えてgooといった悩み相談を活用して、悩みのリサーチをしましょう。また、あなたの「できること」「やりたいこと」は、お金を出してまでほしい人がいるものなのかどうかを問い直してみることも必要です。
あなたは「誰(=喜ばせたい人)に」「何を」提供しますか?
あなたが喜ばせたい人は「誰」ですか?
あなたのアイデアが「ビジネスにするために必要な3つのこと」を満たしていたら、いよいよ、事業プランの柱となるコンセプトを詰めていく段階に入ります。
ここで明らかにしたいのは、「誰」に「何を」提供し、「どんな要望」を満たしたいかということです。「誰」を考える理由は、ある程度「お客様を想定」しておいたほうが、あとでお話する「広告を出す場所」や「広告媒体・手法」がはっきりしたり、「品揃え」に迷わないで済むからです。
例えば、男性なのか女性なのか、年代や家族構成、趣味や好みは…と考えていくことで、ターゲットとするお客様のイメージが具体的になってきます。
お金があれば、いろんな広告を出してみて、その中から効果のあるものを選んだり、たくさんの商品をお店に置けるかもしれませんが、なけなしのお金を使った広告にまったく反応がなかったり、買いそろえた商品がムダになったら困りますよね?
「お金を使って広告をしたのに人が来ないなんてことがあるの?」商売をしたことのない人には驚かれるかもしれませんが、断言します。こういったことはよくあります。そうならないために「自分のお客様は誰なのか」をまずしっかり考えましょう。
喜ばせたい人に「何を」提供しますか?
次は、「何を」提供するのかを絞り込みます。このとき「お金を出して選んでもらうだけの魅力や価値があるのか」ということをあらためて考えてみましょう。
あなたの提供するものにニーズがあるのなら、すでにその分野で頑張っている人がいるものです。そうしたライバル(競合他社)と比べて「どんな点が優れているのか」「なぜ、あなたから買いたくなるのか」「あなただから喜んでもらえるのか」…差別化できる理由をあげてみてください。
いくら広告宣伝に力をいれても、内容(商品やメニューなど)が伴っていなければ、期待してやってきたお客様をがっかりさせるだけです。「フツー」と思われてしまえば、繰り返し利用してもらうことはむずかしいでしょう。
その人の「どんな要望」を満たしたいですか?
最後は、お客様のニーズについてもう少し掘り下げていきましょう。お客様のニーズとは「お客様の要望」です。では、世の中の人は何を要望しているのでしょうか。
「飢えや寒さから身を守りたい」「安全に暮らしたい」「家族と仲良く暮らしたい」「ほめられたい」…生物としての本能のようおな要望から現代ならではの要望、個人的な要望まで、様々な欲望があります。
これらは言い換えれば「満たしたい気持ち」です。できるだけ多くの気持ちに応えることができれば、ビジネスが成立することになるわけです。
一般的に人は不便や不満、不安を感じているとき、それを解消するためにアクションを起こす(何かを買ったり、利用したり、どこかへいったりする)と言われています。
また、生理的に満たしたいもの(食欲・睡眠・健康など)や、自己実現(美しくなりたい、賢くなりたい、成功したい)のためにお金を使う人は少なくありません。
そこであなたのお客様のニーズを具体化するには、
- 誰の不便を解消できるのか?
- 誰の生理的な欲求を満たすのか?
- 誰の自己実現のお手伝いができるのか?
など、自分ではない他者の視点から考えるとわかりやすいでしょう。
事業プランの立て方
一般に「事業計画書」「事業プラン」と呼ばれるのは、金融機関などの融資(審査)を受ける際に、事業内容や販売戦略、収益の見込みなどを説明するために作成する文書です。
個人事業主など小さな規模でビジネスをしようと考えている人なら、そこまで厳密なものを作成する必要はありませんが、事業プランをまとめることは、自分の事業を客観的に見つめ直すにはよい方法です。
事業プランに盛り込む6つの項目
- なぜ、この事業をやりたいのか?
- どんな商品やサービスを提供するのか?
- それはどんな特徴があるのか?
- 想定するお客様はどんな人なのか?
- 資金はどうやって用意するのか?
- 目標とする売上高や利益はどのくらいか?
これらは事業をするなら必ず押さえておきたい基本的な6つのことです。なかなかまとめるのは大変かと思いますが、これらを決めずに見切り発車した先輩起業家の失敗事例をご紹介します。
失敗事例
A子さん
「誰が自分のお客様なのか」を考えていなかった
美容サロンの経営を安定させるためには「物販」が重要ですので、私のサロンでも経営の安定化に向け、単価が高く売れたら利益になるとの判断から高級化粧品の取り扱いを始めました。
しかし、残念ながら高級化粧品はあまり売れませんでした。そのときはじめて、私は「誰が自分のお客様なのか考えていなかった」と気がついたんです。
もし、サロンのお客様が美容にお金を惜しまない層であれば、その高級化粧品も売れていたかもしれません。しかし、私のサロンのお客様は子育てしながら働いている方がメインで、日常的に使用する化粧品に多額のお金をかけるようなタイプではなかったのです。
そこで私はあらためて「自分のお客様」に合う化粧品を取扱う方針に切り替えました。リーズナブルで手軽に使える40代の方にマッチした化粧品です。するとその商品はとてもお客様に喜ばれ、経営の安定化につながりました。
この事例で「誰が自分のお客様なのか」を考える重要性をおわかりいただけたと思います。お客様は30代~50代の女性!なんてざっくりしたイメージではなく、より具体的な絞り込みをしてみてくださいね。
他社で売れている=ニーズがある=自分も売れる、ではありません。たとえ商品がよくても、それを必要とする人に自分がアプローチできなければ、売るのはむずかしいのです。
誰に何を提供するのかを考えるタイミングは?
誰に何を提供するのかについては、どの段階で決めればよいでしょうか。大まかに分けると、開業する前からしっかり考える場合と、開業後、お客様の状況などを見て、あらためて考える場合があります。
判断の基準はずばり「お金」です。
毎月家賃が発生したり、生活費を稼ぐ必要がある場合は、あまりゆっくりとしていられません。また、一度作ってしまったお店の内装などもあとから変えるのは困難です。
一方、結婚されていて、ご主人が働いていたり、自宅兼事務所でパソコン1台でできるような仕事の場合は、続けていくためのお金(ランニングコスト)があまりかからないので、開業したあと、じっくりと自分の得意分野を見つけていくというやり方も可能です。
つまり、お金に余裕がある場合は、ビジネスをしながら、「誰に」「何を」提供するのかを考えることもOKですが、そうでない場合や、お店を構える場合などは「誰に」「何を」提供するのかをあらかじめ考え、メニュー構成やサービス内容を適宜見直すなど状況に応じて、柔軟に対応していくことが必要です。
アイデアを具体的なイメージにするワーク
ターゲットは誰ですか?
性別 /年齢(年代) | ←商品やデザインを考える際に役に立ちます | |
家族構成 | ←自由になる金額や行動パターンを推測できます | |
住んでいる地域 | ←広告を出す場所の目安になります | |
趣味 / 特徴 | ← 自分を知ってもらう際の手がかりを知れます |
その人に「何を」提供しますか?
提供するもの | |
その人が喜んでくれる理由 |
なぜ「それ」を提供するのですか?
社会に「こんな風になって欲しい」から? | |
自分自身が困ったから? | |
知識や経験が十分にあるから? | |
誰かが困っているから? |
イメージワークが完了したら、STEP3の【マーケティング】へ進んでくださいね!
YUKI